【興奮する男のクルマ】アストン マーティンDB5 ゴールドフィンガーへ試乗 前編

公開 : 2021.10.20 08:25  更新 : 2021.10.21 07:53

英国秘密情報部のために作られた、特別なアストン マーティンDB5。 その復刻版、ゴールドフィンガー・コンティニュエーションに英国編集部が試乗しました。

挑戦し満たされ、興奮する男のクルマ

執筆:Mike Duff(マイク・ダフ)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
1964年9月18日、英国編集部では新しく発売されたアストン マーティンDB5へ試乗。英国のグランドツーリング・スポーツカーが、他に例を見ない水準でスタイルとパフォーマンスを両立させたと高く評価した。次のようにまとめながら。

「積極的に運転して欲しいと、遠くまで運転して欲しいと、クルマが訴えてきます。ドライビングスキルとドライバーの筋力を、必要とするクルマでもあります。挑戦し満たされ、興奮する、男のクルマといえるでしょう」

アストン マーティンDB5 ゴールドフィンガー・コンティニュエーション(英国仕様)
アストン マーティンDB5 ゴールドフィンガー・コンティニュエーション(英国仕様)

今改めて、その結論を修正しようとは考えていない。しかし、モディファイされたDB5に試乗する機会を断るわけにはいかない。アストン マーティンによれば、非常に要求の厳しいクライアントに合わせて多くの変更が施され、特別装備が追加されているという。

果たしてそのDB5は、非常に驚かされるものだった。ベースとなったDB5を、さらに訴求力のあるクルマへと昇華させていた。少し、危険な部分も持ち合わせていたが。

初めにデザインや技術面から見ていこう。極秘情報に関わるため、このモディファイの具体的な目的は明らかになっていない。アストン マーティンの関係者によれば、ベントレーを愛するクライアントは、新技術の搭載に初めは躊躇していたそうだ。

このDB5で1番の特徴といえるのが、フロントフェンダーの前端に仕込まれた、.303口径の機関銃だろう。左右に1基づつ搭載されている。

機関銃に防弾シールド、回転式ナンバー

不可避の事態に陥った時、ウインカー・レンズが倒れ、後ろから黒光りするバレルが展開する仕組み。ただし、これは秘密兵器とまではいえないだろう。上下方向で撃つ角度は変えられない。左右は、クルマのフロントノーズの向きで調整できるが。

この機関銃は、1分間に650発もの弾丸を発射する能力がある。多少狙いがずれていても、それを補う攻撃力はある※。

アストン マーティンDB5 ゴールドフィンガー・コンティニュエーション(英国仕様)
アストン マーティンDB5 ゴールドフィンガー・コンティニュエーション(英国仕様)

防御能力も備わる。後ろから執拗に迫ってくるクルマを追い払うため、白煙を炊くこともできるし、路面へオイルを撒いてスリップさせることも可能。リアガラスの後ろには、万が一に備えて立ち上がる防弾シールドが内蔵されている。

前後バンパーのオーバーライダーは、電動で押し出すこともできる。DB5のオーナーは、どんな場面でこの機能を用いるのだろう。

隠し技のハイライトといえるのが、回転するナンバープレート。3面あり、これなら同時に複数の管轄地域でナンバーを発行してもらえる。しっかり税金も収めれば。偽造されたナンバーを貼るという利用方法は、ナンセンスとしかいえない。

インテリアを覗いてみると、通常のDB5と違わず非常に豪奢に仕立てられていた。アストン マーティンが電動ウインドウと呼ぶ、パワーウィンドウも備わる。ドアに内蔵された電気モーターで窓が上下し、ダッシュボードのスイッチで操作できる。

※機関銃は実際には機能しません。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マイク・ダフ

    Mike Duff

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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