「過走行」を乗切る耐久性 30万km超のタクシーも メルセデス・ベンツEクラス(W212型) UK中古車ガイド

公開 : 2024.01.13 19:05

欧州のタクシーで定番の1台、Eクラス 高い製造品質で耐久性は抜群 ステーションワゴンは望ましいファミリーカーに 英編集部が魅力を再確認

走行30万km以上のタクシーも 耐久性は抜群

欧州を訪れたことがあるなら、空港からの移動手段として4代目メルセデス・ベンツEクラス、W212型のタクシーへ乗った経験をお持ちの方も多いのでは。恐らく、ゆとりのある車内と、高い品質や洗練性に感心されたことだろう。

タクシーのEクラスは、30万km以上走り込まれる例も珍しくなく、耐久性は抜群。いつか自分のクルマにしたいと考えてきたのなら、今がチャンスかもしれない。

メルセデス・ベンツEクラス・ステーションワゴン(S212型/2009〜2016年/英国仕様)
メルセデス・ベンツEクラス・ステーションワゴン(S212型/2009〜2016年/英国仕様)

現在の英国の中古車市場を調べてみると、2016年式のE 220 AMGナイトエディションが、約1万4000ポンド(約259万円)で売りに出ている。走行距離は11万2000kmで、まだまだ実用に堪えるはず。

使い勝手の良いステーションワゴンも、1000ポンド(約19万円)ほど上乗せすれば選べる。1950Lの荷室を備え、セルフレベリング機能付きのリアサスが組まれる。ほかにクーペやコンバーチブルも存在するが、それは次回にしておこう。

英国の場合、W212型は殆どがディーゼルエンジンで、ガソリンとの割合は13:1と圧倒的。サルーンとステーションワゴンの比率は3:1で、サルーンの方が多い。

ディーゼルエンジンの中心となるのが、2.1L 4気筒ターボのCDI。E 200やE 220より、204psを発揮するE 250の方が力強く、現実的な燃費も伸ばしやすい。

英国には、ハイブリッドのE 300dhも存在する。同じ2.1Lディーゼルのハイブリッドで、25.0km/Lの燃費も夢ではない。3.0L V6ディーゼルのE 350 CDIは間違いなく速いが、そのぶん多くの軽油を燃やす。

歴代で最も規模の大きいフェイスリフト

ガソリンでは、203psの1.8L 4気筒ターボのE250 CGIから。英国編集部としては、ゆとりある292psの3.5L V6エンジンを搭載した、350 CGIへ注目したい。0-100km/h加速6.8秒と速く、10.5km/L程度の燃費を得られる。

プラグインハイブリッドの、E 350eもラインナップされていた。パワー重視なら、AMG E 63がある。エンジンは当初6.2L V8だったが、後期型では5.5Lへ置き換わっている。ただし、まだかなり高額だ。

メルセデス・ベンツEクラス・ステーションワゴン(S212型/2009〜2016年/英国仕様)
メルセデス・ベンツEクラス・ステーションワゴン(S212型/2009〜2016年/英国仕様)

2013年にW212型はフェイスリフトを受けているが、内容はかなり大々的。Eクラスとして、歴代で最も規模が大きい小変更だと主張され、費やされた10億ポンドの予算はモデルチェンジに要する金額へ匹敵した。

2分割だったヘッドライトは一体になり、フロントグリルのデザインも一新。インテリアも大幅に変更されている。エンジンやサスペンションなども改良を受け、Sクラスに準じる運転システムを獲得し、安全性も大幅に高められた。

基本的にシャシーは快適性重視。だが、スポーティな仕様も選べた。後期型では、サスペンションのモードを切り替えられる。

同時期の、BMW 5シリーズアウディA6の実力も高い。それでも、4代目Eクラスの快適性や耐久性は間違いなくストロングポイント。手入れの行き届いたステーションワゴンなら特に、日常へすんなり溶け込む、望ましいファミリーカーになるはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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