MATストラトス ラリーステージのスーパースターが復活 ベースはF430

2018.07.27


難航し続けたストラトスの復活

2005年、フラバレックはパリのデザインスタジオで、原寸大のクレイモデル(工業用粘土で作ったデザイン検討用のモデル)を仕上げた。そのモデルは「フェノメノン」という名前でジュネーブ・モーターショーに出品されたが、その時すでに「ストラトス」という名前を使用する権利も取得していた。

ライムグリーンに塗られたフェノメノンは、マルチェロ・ガンディーニのオリジナルデザインを的確に近代化しただけでなく、印象的な新しいデザインエレメントも兼ね備えていた。大きく湾曲したフロントガラスの中央にピラーが走り、左右に分割されたフロントガラスは、サイドウィンドウとつながり、ドアと一体になっていたのだ。

ジュネーブショーの時点では、英国のレーシングカー・コンストラクターであるプロドライブ社が、実働車を作るという噂もあり、実現に向けてプロジェクトは前進するかのように思えた。しかし、このプロジェクトは頓挫してしまう。

その後、「フェノメノン」から影響を受けた、自動車部品メーカーの代表を務める資産家のミヒャエル・シュトーシェックが動き出す。

彼は、イタリアのデザイン・カロッツェリア、ピニンファリーナと協働することで、フェラーリF430スクーデリアをベースにストラトスの復活を目指した。マラネロ製のアルミニウム・シャシーは、ストラトスのプロポーションに合わせて全長を短くし、エンジンは最高出力を高めるためにチューニグが施された。

カーボンファイバー製のボディはフェラーリ製のアルミニウム・スペースフレームを囲うように取り付けられ、理想的な重量配分、50:50を生み出すとともに、パワーウエイトレシオにも優れていた。

この挑戦は、有望に思えた。シュトーシェックはフランス南部のポールリカール・サーキットで2010年に公式発表を行い、25台の生産を目指すとした。しかし、ピニンファリーナ製のワンオフモデルは高い賞賛を集めつつも、生産モデルが現れることはなかった。

このプロジェクトも、終わったかのように思えた。今年の初めのジュネーブ・モーターショーに、当時と同じ黒いストラトスがマニファトゥーラ・オートモービル・トリノ(MAT)社のブースに姿をあらわすまでは。

 
最新試乗記

人気記事