[アバルト70年の歩み]特別コンテンツ

ビートルズ「ホワイトアルバム」に通じる 英国の温もり ミニ・リマスタード 試乗

2019.07.09

ボディ構造まで徹底的に焼き直し

ただ、基本的にベースとなるクルマからミニ・リマスタードを生み出すには、1400時間ものレストアや改造の作業が費やされているということも、忘れないでおきたい。ベースとなるドナー車両は、1980年から1990年にかけてのミニの各エディション・グレードだが、すべての傷を治し、ボディの補強も施してある。また、耐腐食性を高めるために、ボディには電子防錆コーティングまでされている。

新しく生まれ変わったボディには、ブリティッシュ・モーター・ヘリテイジ社によって加飾がされ、細部まで丁寧に塗装され組み直される。ウイングミラーやフュエルフィラーキャップの仕上がりを見てほしい。ハロゲンも選べるが、今どきのLEDヘッドライトが顔を引き締め、リアバンパー下の中央2本出しのエグゾーストパイプが後ろ姿を彩る。エンジンは基本的にオリジナルだが、完全にリビルトされており、1330ccから84psを発生し、快音を鳴らす。

運転した感覚としては、新車のようなのだろうか。デイビッド・ブラウン・オートモーティブと、その創設者は、その辺りの意識はあまり持っていないようだ。オリジナルの良さが、どこまで変化しているのかを確かめるには、実際にドライブしてみるしかない。

ロンドンのテムズ川ほとりにある、バッターシー・パークから出発。チェルシー・ブリッジを渡ると、ラッシュアワー間際の交通の流れに合流した。堤防沿いを走り、ロッツ・ロードからオークションハウス前を通過して、キングス・ロードへと出る。有名な洋服店、ヴィヴィアン・ウエストウッド・ワールズエンドの前を通って、アルバート・ブリッジの渋滞に混ざる。特に有名人には会わなかった。

ロンドンを走り回ってわかったが、ありがたいことに、ミニ・リマスタードはしっかりとミニだった。クラッチは重く、ブレーキのタッチは柔らかく踏み込むと鳴く。ドライビング・ポジションはどこか居心地が悪く、ステアリングは小さなボディの割に重い。5速マニュアルのフィーリングも不鮮明だ。

交通渋滞に巻き込まれるのも楽しい。われわれの心象と変わらない小粋な雰囲気が、妙に落ち着かせる。最新のステレオユニットにはローリング・ストーンズやジミ・ヘンドリックス、ザ・フーなどの楽曲がダウンロードしてある。心地いい選曲だが、ビートルズは入っていないようだ。

 
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