大型SUVの万能選手 ポルシェ・カイエン・エレクトリックの実力を探る(1) 車内が広いBMW iX 凛々しい姿のポールスター 3

公開 : 2026.09.10 18:05

圧倒的なプレゼンスを築いてきた大型SUVの万能選手、ポルシェ・カイエン。欧州で直接的に競合する、BMW iXとポールスター 3との比較で、UK編集部が各ブランド電動モデルの実力を探ります。

圧倒的なプレゼンスを築いてきた大型SUVの万能選手

歴代のポルシェカイエンは、高級・大型SUVの万能選手として、圧倒的なプレゼンスを築いてきた。ブランドファンの賛否も呼んだが、現代を象徴するモデルといえた。

望めばスポーツカーのような走りへ興じれ、高級サルーンのような快適性へ浸ることもでき、ステーションワゴンのように沢山の荷物も運べる。本格的なオフローダーへ迫るほど、悪路もこなせる。オーナーは、多能さの優越感に浸ってきたはず。

手前からポルシェ・カイエン・エレクトリックと、ポールスター 3、BMW iX
手前からポルシェ・カイエン・エレクトリックと、ポールスター 3、BMW iX    マックス・エドレストン(Max Edleston)

では、システム総合1157psのカイエン・ターボ・エレクトリックを頂点に掲げる、電動の新世代はどうだろう。直接的に競合するBMW iXとポールスター 3との比較で、より現実的なベース仕様、カイエン・エレクトリックの実力を探ってみたい。

ただし駆動用モーターを2基実装し、バッテリーは108.0kWhと大きく、アダプティブ・エアサスペンションも標準装備。比べる相手は、中級グレードが理に適う。iX xドライブ60 Mスポーツと3 デュアルモーターなら、スペックや価格が近づいてくる。

欲しいと思わせるようなポルシェ感を強めたい

カイエン・エレクトリックの最高出力は442psで、iX xドライブ60と3 デュアルモーターの544psに離されているが、0-100km/h加速は3台とも4秒台にある。いずれも車重は約2.5tあり、航続距離は640km以上が主張される。

カタログ上ではiX xドライブ60が685kmと1番長く、カイエン・エレクトリックは642kmで短い。だが、アルミホイールなどのオプションで電費は左右され、現実環境での順位は変わる可能性もある。電動SUVの持久力は、大幅な進歩を遂げたものだ。

ポルシェ・カイエン・エレクトリック(英国仕様)
ポルシェ・カイエン・エレクトリック(英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

グレートブリテン島西部、ウェールズ地方の駐車場で3台を並べてみると、姿かたちの差が良くわかる。同僚の1人が、カイエン・エレクトリックのボンネットに貼られた、盾型のエンブレムを手で隠す。個性が弱いように映るのは、筆者だけではないらしい。

カイエンのフロントマスクは、両生類のよう。オフロード・パッケージを装備すると、バンパー下にアンダーガードが追加され、そんな印象が増す。サイドビューはしっかりカイエンしているが、欲しいと思わせるようなポルシェ感が、もう少し強くていい。

キャビンの広さではiXにアドバンテージ

カッコ良さで選ぶなら、3 デュアルモーターが最有力ではないだろうか。プロポーションは美しく、ディティールは巧妙。スポーク状のホイールは、他の2台と同じ22インチながら大きく見え、凛々しい印象を強めている。

iX xドライブ60の見た目は、2021年の登場時から大きくは変わらない。個性的と捉えるか、奇をてらい過ぎていると捉えるか。少なくとも筆者にはまだ新鮮に映り、挑戦的なデザインを体現したことへ好感が持てる。数か月で、新しいiX5と入れ替わるはずだが。

BMW iX xドライブ60 Mスポーツ(英国仕様)
BMW iX xドライブ60 Mスポーツ(英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

ボディサイズに大差はなくても、キャビンの広さではiXにアドバンテージがある。着座姿勢はSUVらしく起き気味で、2列目は本格的な3名がけベンチシート。どこに座っても、くつろげる。3の乗員空間も狭くはないが、同クラスでは後席が狭目だろう。

カイエンの広さはiXと3の中間といえ、前後の席とも頭上や足元にはゆとりがある。リアシートは中央が膨らみ、3名で座ることは重視されていないが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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