ベントレーが発表した、GT3-Rの2195kgという乾燥重量は、シリーズモデルの「V8S」と比較して100kgの軽量化を果たしたもの。その効果もやはり大きいのだろう、GT3-Rは0→100km/h加速を3.8秒でこなし、その加速は274km/hの最高速まで続く。この加速性能は、6LのW型12気筒ツインターボエンジンを搭載するコンティネンタルGTのフラッグシップモデル、「スピード」をも超越している。

■どんな感じ?

見た目にもホールド性の素晴らしさと、そしてGT3-Rのキャラクターを象徴しているかのようなバケットシートに着席し、メーターパネルと正対する。基本的なデザインは、これまで見慣れたコンティネンタルGTのそれと変わらないが、メーターナセルやステアリングの12時の位置にあしらわれる、グリーンのアクセントラインが、これから特別な中にも特別なモデルをドライブするのだという期待感を高めてくれる。このGT3-Rにはリアシートが存在しないのは、前で解説しているとおりだが、その空間はラゲッジスペースとして活用できるのは言うまでもない。妥協のないクラフトマンシップによってクリエイトされたキャビンは、人の心をまずは穏やかな気持ちにさせる。はたしてベントレーは、ここからどのようにコンペティションモデルにインスパイアされたという、ロードカーの走りを演出してくれるというのだろうか。

GT3-Rが、これまでのコンティネンタルGTシリーズよりも、はるかにスパルタンなテイストを持つモデルであることは、スタータースイッチを押した瞬間から伝わってきた。チタン製のエグゾーストシステムが奏でるサウンドは官能的で、また実際にそのボリュームも大きい。そのサウンドに一瞬驚かされつつ、セレクターレバーをDポジションにシフトし、アクセルペダルを踏み込むと、GT3-Rは実にスムーズに加速を開始した。セレクターにはDとSの両ポジションがあるが、トラフィックの多い市街地では前者を選択した方が無難だ。Sポジションではエンジンスピードを高めにホールドする制御が入るから、ゴー・ストップを頻繁に繰り返すような場面では、スムーズな動きを続けるのは難しい。もちろんさらにパドルを使用したマニュアルシフトを行えば、この不満も解消されることになるが。