■どんな感じ?

熱気にあふれ、純粋に興奮する。そして予想どおりに速い。

ただしフォードは最新のシャシーに作り変えたにもかかわらず、スポーツカーではあるもののドライバーズカーとはいいがたい。

そう感じるのは、サイズと重さが影響しているから。決して酷くはないのだが、精緻な感覚が欠けているのだ。同価格帯のライバルはマスタングのような隙がない。

独立式のサスペンションは、ブレーキングをした際や衝撃を受けた際に落ち着きを失う。たしかにこれまでのアメリカン・マッスルよりは進歩しているのだが、現代の基準からすると、もう少し努力してほしい。

常に1720kgの車重を感じなければならないのも辛い。田舎の道と市街地の両方で、思いがけず硬いシャシーに苦しめられるのも辛い。

ハンドリングはがっしりとしており楽しさもある。好みに重みを変えられるステア・システムは、アグレッシブな設定でなくともなめらかなうえフィードバックも豊富。

19インチのホイールを履いているにもかかわらず横方向の動きに対するグリップ力は決して豊富ではないが、両方のアクスルは信頼しやすく、バランスも問題ない。調整のしやすさもマスタングの長所である。