コンセプトが近似した2台 フォード・マスタング & トライアンフ・スタッグ(1) V8エンジンを積んだ2+2のソフトトップたち

公開 : 2026.10.18 17:45

1970年代前半に生まれた、コンセプトが近似したフォード・マスタングとトライアンフ・スタッグ。V8エンジンを積んだ2+2のソフトトップでも個性は対極的です。UK編集部がその魅力を振り返ります。

コンセプトが近似したソフトトップ・モデル

1970年代のトライアンフにとって、北米市場は生命線だった。フォード・マスタング・コンバーチブルが3322ドルで売られる土地へ、同社はTバールーフのスタッグを5773ドルで売り込んだ。かなり、思い切った賭けといえた。

他方、英国での価格は物品税の影響もあり、スタッグが2260ポンドだったのに対し、マスタングは3188ポンドと逆転した。欧州市場でも好調だったフォードにとって、マスタングは嗜好品的なモデル。売れなくても、営業に大きな影響はなかった。

レッドのフォード・マスタング・コンバーチブルと、ホワイトのトライアンフ・スタッグ
レッドのフォード・マスタング・コンバーチブルと、ホワイトのトライアンフ・スタッグ    マックス・エドレストン(Max Edleston)

今回ご紹介する2台は、V8エンジンが後輪を駆動する、2+2シーター。トライアンフとフォード、それぞれの解釈で同時期に生み出された、コンセプトが近似したソフトトップ・モデルといえる。

ジョヴァンニ・ミケロッティ氏が先行的に製作

スタッグのスタイリングは、ジョヴァンニ・ミケロッティ氏。サルーンの2000をベースに、イタリア・トリノのスタジオが先行的に製作し、トライアンフの技術者、ハリー・ウェブスター氏を魅了した。高級車市場への足がかりになると、可能性が見出された。

1966年に開発承認を受け、発売は1968年。ただし、1500ポンドという競争力の高い目標価格は、実現できなかった。安全規制の強化で、北米ではコンバーチブルの販売が困難だと予想され、Tバールーフ構造を採用。脱着式ハードトップも用意された。

トライアンフ・スタッグ(1970〜1977年/英国仕様)
トライアンフ・スタッグ(1970〜1977年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

親会社のレイランド・モーターズ社は、ブリティッシュ・レイランド・モーター社(BLMC)へ再編。ジャガーも同居する大所帯になり、ウェブスターは傘下のオースチン/モーリス担当へ移動。後任にはローバーの技術者、スペン・キング氏が就任する。

自社製へ拘り新開発された3.0L V8

エンジンは、共通のクランクシャフトで4気筒ユニットを2基繋いだ、バンク角90度のV型8気筒。トライアンフの技術者、ルイス・ドートリー氏が1963年から進めた新型OHCユニット・シリーズの1つで、スタッグにはパワーが必要だと判断された。

開発時には、BLMC内のローバーがビュイック由来の軽量な3.5L V8エンジンを擁していたが、自社製へ拘ったようだ。排気量は2.5Lで計画されたが、ボアを広げ2997ccへ拡大。ゼニス・ストロンバーグ社製のキャブレター2基で、混合気が送られた。

トライアンフ・スタッグ(1970〜1977年/英国仕様)
トライアンフ・スタッグ(1970〜1977年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

サスペンションはサルーンの2000譲りで、前がマクファーソンストラット、後ろがセミトレーリングアーム。スプリングが強化されつつ、ホイールベースは短縮された。

2000から前後が一新されたボディは、ドイツのカルマン社が金型を製作。トライアンフがグレートブリテン島中西部、マージーサイド州に新設した工場でプレスされ、中部のウェスト・ミッドランズ州コベントリーまで運搬し、完成車へ仕上げられた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

フォード・マスタング & トライアンフ・スタッグの前後関係

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