XFの方が装備が充実しているため、2台を比較検討しているカスタマーにとっては小さな差だと割り切ることもできるのだが、月々のリース価格を考えると、3年後、4万8000km程度を走ったクルマだとどちらも表示価格の48％が残るため何の救いにもならない。

パッケージングはジャガーに加点。これまでは同クラスでもっとも長いながら、もっとも狭いといわれていた欠点が解消されている。

収容能力を理由に購入することはない、というのは相変わらずであるが、先述のように車体が短くなっていながらも広々としている。

しかし、530dの方が全長が短いにもかかわらず室内は広い。XFほどリッチで魅力的ではないが、空気感はソリッド。前後左右にXFよりもゆとりがあり、頭上のスペースも少しだけ広い。

シートの横幅も530dの方が大きい。調整幅やサポート性もXFより優れている。530dはあらゆる面でXFよりも ‘ビッグ・サルーン’ だと表現でき、望むとおりの広さなのである。XFも同様、といえる自信はない。

XFはスペースを諦めたぶん、ホイールがドライバーのそばにある。ドライビング・ポジションそのものは両者ともに瓜二つであるが、XEの場合はドア・コンソール／センター・トンネル／ルーフのすべてが手の届く位置にある。

リア・シートは大人2名が乗ったとしても十分に広い。ルーフ・パネルの形状が上部にくり抜かれている点も広さに貢献している。荷室も530dの方が前後方向に長く、深さもある。

新式の燃料噴射システムとターボチャージャーのおかげでXEのV6ディーゼルの出力は数値上では530dというよりも535dの方と匹敵するのだが、実際に走らせてみると530dでさえXEと同等に戦えるレベルにあるといえる。