歴代初めて日本に正規輸入された『BMW M5ツーリング』 プラグインハイブリッド化で得たキャラクターは「羊の皮をかぶった狼」

公開 : 2026.07.13 17:05

歴代初めて正規輸入された『BMW M5ツーリング』は、最高出力727hp、最大トルク1000Nmを誇る、4.4LV8ツインターボにモーターを組み合わせたPHEVです。その歴史と最新モデルを内田俊一がレポートします。

最初の市販車ベースは1985年のE28

BMW M5のワゴンボディ『ツーリング』は、セダンと同じ価格2073万円で昨年第一四半期より日本導入が開始されている。この世代で復活したM5ツーリングとは、どういうクルマなのだろう。

Mの歴史を振り返ると、専用モデルとして1978年にデビューした『M1』を思い浮かべる方も多いだろう。しかしその一方で、BMWのカタログモデルをベースとして最初に登場したのは1985年に登場した『M5』(E28)である。

歴代初めて日本に正規輸入された『BMW M5ツーリング』を取材。
歴代初めて日本に正規輸入された『BMW M5ツーリング』を取材。    BMW

1981年に『M535i』(E28)を市場に送り出し、高性能セダンの需要があることを見極めたBMWが、Mモータースポーツで開発したM5をデビューさせたわけだ。

搭載されたエンジンはM1用に開発されたものをベースにメンテナンスを容易にし、かつ、燃料噴射装置をクーゲルフィッシャーからボッシュ・モトロニックに変更することで出力、トルクとも向上させてる。当然足まわりも性能に合わせて、スタビライザーの強化やビルシュタイン製コイルスプリングとダンパーを採用した(1986年まで)。

大きな変更はないエクステリア

エクステリアはE28と大きな変更はないものの、メッキ類をブラックアウトしたほか、フロントとリアにリップスポイラーが奢られている。一方でインテリアはレザーなどを多用し、上質なサルーンであることを強調した。つまりM5の始まりは使い古された言葉を用いるならば、『羊の皮をかぶった狼』と言えるのだ。

M5ツーリングのデビューも意外と早く、5シリーズの3世代目(E34)へ1992年に追加されたことに始まる。それ以降は第5世代で復活するものの(E60/61)、再びラインナップ落ちし、現行でよみがえった。なお、日本へ正規輸入されるM5ツーリングは今回が初となる。

BMWのカタログモデルをベースとして最初に登場したのは、1985年に登場した『M5』(E28)。
BMWのカタログモデルをベースとして最初に登場したのは、1985年に登場した『M5』(E28)。    BMW

1000Nmに達するV8ツインターボのPHEV

2024年8月にデビューした現行M5ツーリング(G99)に搭載されるのは、M専用のプラグインハイブリッドシステムである『Mハイブリッドドライブシステム』。

これは4.4リッターV型8気筒エンジンと、8速Mステップトロニックトランスミッションに電気モーターを組み合わせたもので、エンジンは、ツインスクロールターボ2機を向かい合うシリンダーの排気管をあえて跨いで配置することで、ターボラグを減少。

現行M5ツーリングに搭載される、M専用のプラグインハイブリッドシステム。
現行M5ツーリングに搭載される、M専用のプラグインハイブリッドシステム。    BMW

エンジンとモーターを合わせると最高出力は727hp、最大トルクは1000Nmとなる、0-100km/h加速3.6秒を実現。オプションのMドライバーズ・パッケージを装備すると最高速305 km/hに達するという。

またM5ツーリングは、最高速度140 km/hまで電気のみで走行も可能というのが大きな特徴。航続距離は約70kmとされる。

エクステリアデザインは、通常の5シリーズ・ツーリングよりも75mmワイド化されたフロントフェンダーとともに、M専用エアロバンパーやBMWアイコニックグローを備えた、M専用ブラックキドニーグリルなどで迫力を感じさせる。リアエンドも48mmワイド化されたフェンダーとともに、専用デザインのリアディフューザーなどが配されている。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    Shunichi Uchida

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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