BMW 535iのエンブレムは高速道路で絶大な効力 1980年末『路上のビジネスクラス』たち(2) エンジンの仕草は例によってシルキー

公開 : 2026.10.24 17:50

1980年代末のBMW 535i、ジャガーXJR、オペル・セネター 24vという直列6気筒エンジンを搭載する高性能サルーンたち。ブランドの特長が色濃く表れた姿と走りの印象を、UK編集部が味わいます。

BMWが売りにした質実剛健さと機能性

1980年代末のBMWは、質実剛健さと機能性を売りにしていた。1988年にE34型へ世代交代した5シリーズは、同社の新世紀を築いたノイエクラッセ・シリーズの思想を磨き込み、一層の高みへ昇華した内容にあった。

ボディのプロポーションにスキはなく、フロントウインカーはフェンダーと滑らかに繋がり、ルーフラインは端正。前傾姿勢なサイドビューを作る、ホフマイスター・キンクがサイドウインドウを飾った。

BMW 535i スポーツ(1987〜1992年/英国仕様)
BMW 535i スポーツ(1987〜1992年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

E32型7シリーズと合わせた、開発予算は6億ポンド。この世代の5シリーズで、意欲的なビジネスマンが選ぶ相棒といえる地位が、明確に構築されたといっていい。

ボッシュ社との緊密な提携関係も、成果として表れていた。圧力制御式のワイパーや、5基のセンサーを用いたクライメートコントロールなど、高度な電子制御技術を7シリーズと共有している。バンパーとヘッドライトも。

高速道路で効力を発揮した535iのエンブレム

ボディ剛性は、先代から70%上昇。前がマクファーソンストラット、後ろがセミトレーリングアームのサスペンションは、コンピュータを用いて設計された。油圧エンジンマウントや吸気マニフォールド・マウントも、シミュレーションで導かれた結果だった。

またE34型では、3ピース構造のゴム製ドアシールを採用。開閉時の重厚感ある音で、製造品質を聴覚的にも主張した。

BMW 535i スポーツ(1987〜1992年/英国仕様)
BMW 535i スポーツ(1987〜1992年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

エンジンは、下位グレードにはM20型の直列6気筒が採用されたが、530iと535iではM30型。スチール製ブロックにアルミ製ヘッドが載り、SOHCの12バルブ構成で、比較的ベーシックな構成ながら不満のない210psを生み出した。

エンジンを30度傾けて搭載することで、低いボンネットラインを実現。リアに貼られた535iのエンブレムは、高速道路で絶大な効力を発揮した。1992年からは540iへアップデートされ、DOHCのV8エンジンへ置換されるが。

人間工学へ基づき洗練されたキャビンのデザイン

1988年には、スポーツサルーンの需要を受けた競合メーカーの動きに合わせ、535i スポーツが登場。M30型エンジンは手つかずながら、ダンパーは強化され、LSDとスポーツシート、Mテクニック・ステアリングホイールでスポーツ度が強められた。

ボディキットは控えめなものだが、空気抵抗を示すCd値は0.32を保ちつつ、前で33%、後ろで50%リフト量を低減。高速域での安定性を改善している。

BMW 535i スポーツ(1987〜1992年/英国仕様)
BMW 535i スポーツ(1987〜1992年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

BMW 535i スポーツのシートへ座ると、洗練されたキャビンのデザインが今でも印象的。直ぐにでも、運転したいと思わせる。ステアリングホイールとペダル、メーターの位置関係は理想的といえ、人間工学へ深く基づいた設計にあることもわかる。

ドライバー重視といえる印象だが、振り返ればリアにもしっかり豪華なシート。ドアを閉めれば、ダッシュボード側とドア側のエアコン用ダクトがピタリと重なる。普段は見えない部分にも、丁寧な設計は行き届いている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アーロン・マッケイ

    Aaron McKay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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