一方、ブレーキはパフォーマンスに対して充分な能力を持ち、ペダルフィールもナチュララルなものだった。したがってそのシャシー、スポーツの名に相応しいドライビングをしても、充分に対応できる能力を持ったものだといっていい。

■「買い」か?

例えば現行ミニの3ドア・ハッチバックと比べると、エンジンは1.5ℓ3気筒ターボ136psのクーパーより確実にパワフルだが、2ℓ4気筒ターボ192psのクーパーSほど力強くはない、というある意味で中庸を得た微妙なスペック。

さらに299万円というDS3のプライスも、クーパーの6段MT仕様より19万円高いが、クーパーSのMTよりは34万円安いという、これまた微妙な設定。一方、アバルトのベーシックモデル、500の5段MT仕様は286.2万円だから、これも微妙に絡んでくる。

とはいえ、DS3スポーツ・シックに興味を持っている人は、そういった同カテゴリーのライバルと比べるよりも、ミニともチンクエチェントとも違うフランスならではの、あるいはシトロエンならではの、さらにいえばDSならではのテイストや美意識に共感して、このクルマを選ぶのではないだろうか。

3ペダルの6段MT仕様がウリのDS3スポーツ・シックは、そういった美意識を持ったスポーティ・ユーザーの期待を裏切らないだけの資質を基本的に備えたクルマだと、箱根のワインディングロードを駆け巡って実感した。

DS3 – Spherical Image – RICOH THETA

DS3 Sport Shic

価格	2,990,000円
全長×全幅×全高	3965×1715×1455mm
ホイールベース	2455mm
乾燥重量	1200kg
エンジン	直列4気筒DOHCターボ1598cc
最高出力	165ps/6000rpm
最大トルク	24.5kg-m/1400-3500rpm
ギアボックス	6速マニュアル
サスペンション	マクファーソン・ストラット / トーションビーム
ブレーキ	ベンチレーテッド・ディスク / ディスク
ホイール+タイヤ	7.0J x 17 + 205/45R17
燃費(JC08モード)	16.63km/ℓ