【825psのスーパーチャージドV8】サットンCS800マスタング 今の時代だからこそ

公開 : 2020.01.10 09:50

英国チューニングブランドのサットン・ビスポーク社が手掛けた、特別仕立てのフォード・マスタングがCS800。モデル名以上の最高出力を備えつつ、そのパワーを手懐けるシャシーも獲得しています。英国で試乗しました。

最高出力825psの特製マスタング

text:Matt Prior(マット・プライヤー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ノーマルのフォード・マスタングは、5.0LのV8エンジンを搭載していても、不思議とリラックスした雰囲気が漂う。人懐っこく、程よくドライバーを盛り上げてくれる友人のように。

そこに疑問を抱いたのかどうかは不明だが、英国の輸入代理店でチューニング・ブランドでもあるサットン・ビスポークは、マスタングへひと手間を加えることにした。過激な映画に登場する特殊マシンのように、激しいサウンドと破壊力を与えるために。

サットンCS800マスタング
サットンCS800マスタング

以前にもサットンが手掛けたマスタングに試乗したことがある。今回は最近フェイスリフトを受けた、最新のマスタングがベースだ。

このCS800は、ドライバーの希望や予算に合わせて必要なチューニングメニューを選ぶことができる。しかも自動車メーカーのように、カスタマイズの状態を確認できるコンフィグレーターまで用意してある。

今回の試乗車には、とても沢山のオプションが盛り込まれていた。最も要となるチューニングパーツは、大きなホイップル社製のスーパーチャージャー。エンジンの上部にマウントされるため、ボンネットも一段持ち上げられた専用品となる。

そこに特製のスロットルボディとハイフロー・インジェクターが組み合わされ、最高出力は825ps。車名はこの最高出力をbhp換算した時の800と一致する。

額面通りの加速力と好感触の6速MT

アクティブ・エグゾーストは、音量をブルートゥースでコントロールできる。自宅や職場の付近だけ音量を抑えることも可能だ。カーボンファイバー製パーツもふんだんに採用され、インテリアトリムも一部が新調されている。

車高の下げられたサスペンションには、大きなホイールが取り付けられる。ダンパーはフォード製のアダプティブダンパー、マグネライドなところが良い。

サットンCS800マスタング
サットンCS800マスタング

これらのチューニングにより、7500rpmまで吹け上がる、恐ろしく速いクルマが完成している。木枯らしの吹く中では、なかなか高回転域まで回して破壊力を試すことは難しかった。

スーパーチャージャーは、低回転域から特有の悲鳴のようなノイズを響かせる。ある程度エンジンを回せば、混ざり合うエグゾーストノートとともに、CS800は額面のパワーに違わない威勢のいい加速を見せつける。

場所が許せば、ドライバーの望み通りにリアタイヤを派手にスピンさせ、はしゃぐことも容易い。トラクションコントロールの縛りはだいぶ緩いようだ。

サットンCS800のトランスミッションは6速MTだが、ストロークは短く、変速の質感も正確で小気味いい。通常のマスタングよりは重めだが、重すぎるということはない。

ステアリングホイールは、現代の水準では重たい方。乗り心地はかなり引き締められているが、硬すぎて不快なほどではない。

通常のマスタングはグランドツアラー寄りだが、CS800はスポーツカー寄りに思える。だが、マッスルカーだから当然のように、ボディは大きい。

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