【詳細データテスト】ポルシェ・カイエン 二兎を追う者は一兎をも得ず 元凶は重さ

公開 : 2020.06.06 08:50  更新 : 2020.06.06 13:27

結論 ★★★★★★★☆☆☆

ポルシェにとって、エンジニアリングのショーケースとしてのカイエン・ターボS E-ハイブリッドは、911GT2 RSに代表されるスーパースポーツと肩を並べるものだ。

ところが、スペック表の数字は並外れた万能性を予感させるが、走らせてみると熟成の足りないクルマだった。そして、このワイルドなポルシェは最終的に、奇妙な位置づけに追いやられてしまった。とにかく、すべてがもっとも過激でないと気が済まないユーザーだけがよろこぶクルマ、というポジションだ。

結論:個々の技術的にはすばらしいが、できあがったクルマは説得力に欠ける。
結論:個々の技術的にはすばらしいが、できあがったクルマは説得力に欠ける。

EV走行が可能な点は、日常遣いに便利かもしれない。しかし、航続距離は公称値にほど遠い25km程度しか期待できず、それもかなりペースを抑えなければそこまで走れない。その場合には、このカイエンが最速だが最重量級であるがゆえに必須ととなる硬くタイトな乗り心地が、まったく必要とされない。

同時に、パワートレインに加えられた電気モーターは、パフォーマンスへの貢献度が、操舵性に与える悪影響を下回っている。ハンドリングやステアリングも、ともに鈍ってしまっているのだ。

ハイブリッドなしで550psのカイエン・ターボでも、本気になたらその走りは身もすくむほど。しかも、よりナチュラルで楽しく、今回のハイブリッドモデルよりだいぶ安く手に入る。

カイエン・ターボS E-ハイブリッドは、単なるターボよりはるかに高性能で、不思議と好ましく、疑いなくワイルドだ。しかし、ずっと無駄の多いクルマであるのもまた事実だ。

担当テスターのアドバイス

リチャード・レーン

アクティブスタビライザーは強力で、理論上はこのカイエンをコーナーの進入でオーバーステアに持ち込めるはずだ。ターボS E-ハイブリッドにRSバージョンがあれば、ピッタリのデバイスだろう。

マット・ソーンダース

ポルシェのエアサスペンションはよくできていて、地上高を162~245mmの範囲で調整できる。なぜか。実際に試すオーナーはほとんどいないだろうが、アウトバーンでの安全な290km/hクルーズと、オフロード走行とを両立する必要があったからだ。実にタフなクルマである。

オプション追加のアドバイス

1448ポンド(約20.3万円)の四輪操舵、1002ポンド(約14.0万円)のパークアシストカメラ、1082ポンド(約15.1万円)のPDLSプラスことアダプティブヘッドライトはおすすめ。どれも、日常使いに便利なデバイスだ。逆に251ポンド(約3.5万円)のペイントされたキーや、606ポンド(約8.5万円)のカーボンインテリアパッケージは、出費する価値のないアイテムだろう。

改善してほしいポイント

・EV走行の航続距離は、現状の倍、少なくとも70km弱はほしい。BMWにできることが、ポルシェにはできないのだろうか。
・高速道路走行時のダンパーのチューンは、もっと快適なものでないと。今のままではあまりにも硬すぎる。

関連テーマ

人気テーマ

 
最新試乗記

人気記事