【詳細データテスト】ポルシェ・カイエン 二兎を追う者は一兎をも得ず 元凶は重さ

公開 : 2020.06.06 08:50  更新 : 2020.06.06 13:27

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

カイエンの最強バージョンに採用されたプラグインハイブリッドシステムは、以前にパナメーラへ搭載されて初登場したもの。しかしそれが見せる数字は、はじめて目にしたわけではないのに、にわかには信じがたいものだ。

システムトータルでのスペックは、最高出力680ps、最大トルク91.8kg-m。しかもその極太なトルクの発生域は、1500rpmからはじまる。どんな状況下でも、爆発的なパフォーマンスを発揮すると思わせるデータだ。

アクティブルーフスポイラーは、ターボ系グレードに装着されるアイテム。160km/hを超えると6°、スポーツプラスモードでは12.6°持ち上がり、スタビリティを高めるほか、エアブレーキとしても機能する。
アクティブルーフスポイラーは、ターボ系グレードに装着されるアイテム。160km/hを超えると6°、スポーツプラスモードでは12.6°持ち上がり、スタビリティを高めるほか、エアブレーキとしても機能する。

このパワーの大半にあたる560psは、V8ツインターボのガソリンユニットによるもの。残りはエンジンとZF製ATとの間に挟まれた電気モーターが供給する。

トルクは、トランスミッションの許容限界に近い。もしもより強力なギアボックスが使えるなら、パワーユニットは簡単に117.5kg-mまで引き上げられる、というのがポルシェの言い分だ。

理論上の最大トルクには達していないものの、カイエン・ターボS E-ハイブリッドの0-100km/h加速タイムは、911ターボSのおよそ1秒落ちにすぎない。2490kgというこのSUVと、リアエンジン最強クーペとの重量差が850kgもあることを考えれば、理解し難い加速性能だ。

しかし、このクルマで注目すべきパフォーマンスはそれだけではない。110g/kmというCO2排出量は、加速性能と同じくらい信じがたいスペックだ。これほど両極端なデータをともに達成する方法は、電気動力の導入をおいてほかにない。

荷室フロア下に積まれた14.1kWhのバッテリーパックは、EV走行も可能にする。WLTPサイクルでの航続距離は30.5km。これは、かつてのテストサイクルでの43.5kmより現実的な数字だ。

重量とパフォーマンスの関係もまた、理屈に合わない話だ。辻褄を合わせるためには、よくできたシャシー制御技術が必要だと思われるし、実際にそれが投入されている。ポルシェの持てる限りの技術を詰め込んだこのクルマは、まるで走るショーケースだ。

3チャンバー式エアサスペンションを筆頭に、中央のピボットモーターで左右のバーを逆方向にねじるアクティブスタビライザー、カーボンセラミックブレーキとリアLSDでコントロールするトルクベクタリングは標準装備。さらにテスト車は、オプションの後輪操舵もおごられていた。

ここで明らかに矛盾が生じる。このカイエン・ターボS E-ハイブリッドは、自身の重量を御するために、さらなる重量増加を必要としたのだ。

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