【5.2L V12か2.0L 直4か】ジャガーXJ-Sとロータス・エリート 1970年代のGT 前編

2020.06.06

サマリー

ジャガーXJ-Sとロータス・エリート。排気量や容姿は異なる2台ですが、共通する内面を備えているとするのは英国編集部。誕生から50年も近づいてきた、少しいびつな構成が与えられたグランドツアラーを比較しました。

もくじ

新規顧客の獲得を狙った2台
高い価格に賛否両論のデザイン
フェラーリの走行性能にリムジンの快適性
ウェッジシェイプの本格的な4シーター
毎日の足としていたXJ-S

新規顧客の獲得を狙った2台

text:Martin Buckley(マーティン・バックリー)
photo:Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
一見すると不釣り合いなカップルにも見える、ジャガーXJ-Sとロータス・エリート。どちらも生まれは1970年代で、定員4名のグランドツアラーだ。

行く先不透明な英国だが、自動車を取り巻く環境も厳しく、少なくともこの先10年間は楽観視できない。そんな今だから、この2台には何か発見があるかもしれない。

ジャガーXJ-S/ロータス・エリート
ジャガーXJ-S/ロータス・エリート

2台ともに安全性が重視され、当初作られたのはクーペボディのみ。家庭や仕事の道具として活躍できる、実用性。両車の祖先といえる、スポーツカーのEタイプと初代エランとは、異なる方向性が与えられていた。

1960年代までに、国の宝と呼べるブランドへ成長したジャガーとロータス。しかしXJ-Sとエリートは、古いオーナーからは厳しい意見が向けられるモデルだった。

新規顧客の獲得を狙っていた2台。欧州のグランドツアラーの人気にあやかり、ラグジュアリーな4シーター・クーペに、高い金額を支払う客がいると考えたのだ。

ガソリン価格が高騰する中で、パフォーマンス・モデルを考えたコーリン・チャップマン。燃費に優れた、最高速度202km/hのグランドツアラーを作るムードにあると判断した。当時、どれだけの人が環境意識を持っていたのかはわからないが。

一方のジャガーは、倹約的なグランドツアラーは考えていなかった。それでも、XJ-Sはファッションや社会的な変化は意識していたのだろう。ポストEタイプと呼べる、新しいフラッグシップ・スーパークーペを必要としていた。

高い価格に賛否両論のデザイン

英国ではなく、ドイツ・フランクフルトでの発表は、国際的な志向を映している。インパクトのあるキャッチコピーを用いた、大規模な広告展開が打たれた。「1975年9月10日、モデナとシュツットガルト、トリノは、ブラックデー(不吉な日)になる」

確かに、1975年に登場したジャガーXJ-Sは、大物といえるクルマだった。上昇するガソリン価格と厳しくなる速度規制にあって、4.9km/Lの燃費と、246km/hの最高速度は、時代錯誤に受け止められた。

ジャガーXJ-S/ロータス・エリート
ジャガーXJ-S/ロータス・エリート

XJのフロアパンを短くし、剛性を高め、ロングノーズ・ショートデッキのボディを載せているXJ-S。サスペンションもXJのものだ。エキゾチックなジャガーは、スタイリングの好みも別れた。

それまでジャガーの工場から生まれたクルマとは、一線を画すボディデザインだった。特に賛否両論となったのが、リアクォーターのフィンのように立ち上がったピラー、フライング・バットレス。

エンジニアのマルコム・セイヤーは、ファッションではなく、空力的な目的で付加した。楕円形のヘッドライトと、無骨な黒いバンパーも、強い個性を構成している。低くかがんだスタンスとプロポーションは、ジャガーらしくもある。

XJ-Sの価格も、従来のジャガーを塗り替えた。当時9000ポンドという数字は、欧州大陸の主なライバルモデルに並ぶか、それ以上の金額だった。

 
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