【寿命が縮まる?】アイドリングストップ エンジンへの影響、メリットは

2020.09.21

エンジンの摩耗を防ぐ2つの方法

こうした金属同士の摩擦による摩耗を防ぐ方法は2つある。

1つ目は、ベアリングメーカーが自己潤滑性の高いベアリング材を開発し、始動時の摩耗に抵抗するというものだ。フェデラル・モーグル社は、酸化鉄(錆)の粒子を含有するポリマーコーティングを施した「Irox(アイロックス)」という新素材を開発している。

アイドリングストップ搭載分の追加料金は何年で回収できるのだろうか。
アイドリングストップ搭載分の追加料金は何年で回収できるのだろうか。

実際、Iroxベアリングの摩擦係数は従来のアルミベアリングよりも50%低く、アイドリングストップ機能を備えたエンジンの寿命を簡単に延ばすことができる。

2つ目は、潤滑油の改良である。最新のエンジンオイルには、複雑な化学物質のカクテルで構成される添加剤が含まれている。

英国企業ミラーズ・オイル社の技術責任者、マーティン・マンは、この配合が非常に重要であると述べている。

ミラーズ社は2006年に低摩擦オイルの研究を開始した。

「摩擦装置でテストしたところ、ピストンとライナーなどの一般的な部品間の摺動摩擦を50%低減できることがわかりました」とマンは言う。

低摩擦オイルは一般的に、熱、パワーロス、燃料消費量、摩耗を減らすことができるが、「ナノドライブ」として知られるミラーズ社のテクノロジーは、さらに進化している。

微細なボールベアリングのようなナノ粒子が高圧下で剥離し、ポリマーの「フレーク」がエンジン表面に付着する。

現時点では同社の高級レーシングオイルにのみ使用されているが、アイドリングストップにおいても再始動時の摩耗を減らすことができる。

低摩擦ベアリングと潤滑技術が導入されれば、アイドリングストップによるエンジン寿命への潜在的な脅威は理論的には克服されるはずだ。

しかし、これらの技術はまだ比較的新しく、すべての自動車メーカーがこの技術を正しく認識しているかどうかは分からない。

燃費の改善にはつながる?

燃費は改善できる。渋滞中や信号待ちなど、エンジンを止めて停車している状況では、燃料を節約することが可能だ。

ただ、どのくらいの燃料が節約されるかはしばしば議論の的となる。多くは、運転の仕方によってほぼ左右されてしまう。言うまでもなく、静止している時間が長いほど多くの燃料を節約することができる。

CO2排出量削減はメーカーにとって大きな課題となっている。
CO2排出量削減はメーカーにとって大きな課題となっている。

また、エンジンが冷えている場合など、アイドリングストップが作動しないこともある。

バッテリーの残量が一定レベルを下回っている場合のほか、ボルボ車のようにドライバーがシートベルトを外した場合や、エアコンをつけた場合にもエンジンが停止しないことがある。

アイドリングストップは、交通量が多く停車時間の長い都市部でのCO2排出量を減らすために採用されている。メーカーにはCO2排出量について厳しい規制が課せられており、違反すると罰金が発生することもある。

そのため、確かに燃費の改善は見込めるものの、実際にはドライバーの金銭的なメリットよりもメーカー側のメリットの方が大きいのだ。

 

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