【上位3台からベストを決定】GRヤリスxアトム4x765 LT 異種格闘技 一番のドライバーズカーを選出 BBDC 2020(6)

公開 : 2021.01.05 05:45  更新 : 2021.05.18 16:14

2020年で一番運転が楽しいクルマを決める、英国ベスト・ドライバーズカー選手権(BBDC)。今回、上位3台に選ばれたのは、トヨタGRヤリスとアリエル・アトム4、マクラーレン765 LTでした。果たして、2020年のベストは・・

サーキットと一般道を走って9台を採点

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
photo:Luc Lacey(リュク・レーシー)/Max Edleston(マックス・エドレストン)/Olgun Kordal(オルガン・コーダル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
経験豊富なアンドリュー・フランケルが、クルマが温まる前のピットレーンを見てつぶやいた。今年ほど多彩な英国ベスト・ドライバーズカー選手権(BBDC)のラインナップは珍しい、と。

9台のうち4台は、最高速度が320km/h超。5台は600ps超。LSDが付かないクルマは1台だけ。残りは何かしらのLSDを装備し、アクティブ・トルクベクタリング機能も備わる。寒い雨は、豪華なラインナップの見返りだったのかもしれない。

マクラーレン765 LT/トヨタGRヤリス・サーキットパッケージ
マクラーレン765 LT/トヨタGRヤリス・サーキットパッケージ

中でもマクラーレン765 LTは、765psもある。そんな馬力溢れるクルマたちを水浸しのサーキットで試し、一番を決める。想定外も少なくなかったが、偽りはない。

試乗を終えると、審査員たちが意見を交わす。相手の意見に賛同するときもあれば、食い違う時もある。路面状態が安定していれば印象も安定し、コンセンサスは意外と早く得られる。でも今回は違った。運転の時間は限られている。

BBDCの審査方法は例年通り。サーキットと一般道で25点づつ、最大50点で採点する。リチャード・レーンが体調不良で抜けたから、最終審査を行ったのは5名。250点満点になる計算だ。聞こえは簡単だが、これが難しい。

残念ながら、フェラーリF8トリブートはV8エンジンが不調で脱落となった。最近のBBDCでは、機械的な故障は久しく起きていなかったのだが。後に、スパークプラグのヒビで点火不良状態だったと判明。残念だ。

上位を狙えた1台が脱落したことで、残りのいずれかがトップ3に食い込めることとなった。結果、勝ち残った3台は非常に個性豊かな、多様性を感じさせるトリオになった。

この金額では最も動的能力に優れている

採点を受けた8台で200点を超えたクルマも、上位の3台のみ。得点差が5点しかないことも興味深い。

2台が同点で最高得点を獲得したのも、今年が初めて。改めて審査員の採点を確認し、より高い評価を集めている1台を確認する必要があった。今回ほど僅差でトップが決まることも珍しい。

トヨタGRヤリス・サーキットパッケージ(英国仕様)
トヨタGRヤリス・サーキットパッケージ(英国仕様)

前置きが長くなった。今年のトップ3をご紹介しよう。溢れんばかりに活発なトヨタGRヤリスと、ドラマチックなマクラーレン765 LT、そして2019年のBBDCに選ばれたアリエル・アトム4だ。

GRヤリスは、不順な秋のコンディションに順応し、多くの審査員の心を掴んだ。雨を味方につけていた。運転するほど、ドライバーズカーとして深遠な魅力が引き出されていた。こんなホットハッチは、近年ではなかなかお目にかかれない。

一方のアトム4と765 LTは、コンディションを克服する必要があった。それでも、一体感のあるドライビングフィールや卓越した操縦性は、安心感すら与えてくれるほど。ブランドのイメージを確実なものにする、動的性能の魅力があった。

勝ち残った3台で、GRヤリスは一番安い。アンドリュー・フランケルが関心するように話す。「この金額のクルマとして、最も動的能力に優れています。トヨタは、既存モデルからホットロッド的なクルマを作ることもできたはず。でもその手段は選びませんでした」

「見事な設計で、例えば代を重ねたランサー・エボリューションより成熟度は高い。一般道で乗り心地が良いことも好ましい。パワー任せのクルマとは違います。目的地までの移動速度も速い。ドライバーの期待にちゃんと応えてくれます」

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