【戦後のクーペ 4台乗り比べ】ランチア・アウレリア/アストン マーティンDB2/ACアシーカ/ブリストル404 中編

公開 : 2021.03.20 17:45

量産ユニットとして世界初のV型6気筒

アウレリアB20 GTの車重は1300kgを超え、軽くはない。しかしスタイリングの訴求力は強かった。

もちろん見た目だけではない、充分な内容も与えられている。巧妙に設計されたトランスアクスル・レイアウトを採用し、まだセパレートシャシーが一般的だった時代に、モノコック構造を取り入れている。

ランチア・アウレリアB20 GT(1950〜1958年)
ランチア・アウレリアB20 GT(1950〜1958年)

さらに量産ユニットとして世界初の、V型6気筒がフロントに収まった。フランチェスコ・デ・ビルジリオが設計を手掛けたバンク角60度の1569ccエンジンは、半球型の燃焼室と直線的に並んだバルブ構造を備えている。

1951年には、1991ccへ排気量を拡大。ホイールベースを約200mm短くしたライトウェイトGTに搭載され、驚くほど高い動的性能を発揮した。

1952年にシリーズ2が登場し、1953年にはシリーズ3へ進化。初期のアウレリアに備わっていたテールフィンがなくなり、一層パワフルな2451ccエンジンが登場している。

続く1954年に姿を表したのが、シリーズ4。アウレリアの中でベストといわれるモデルでもあり、映画「追い越し野郎」にも登場している。

シリーズ4は、シリーズ3までの改良に加えて、リア・サスペンションをセミトレーリングアーム式からドディオンチューブ式へ変更。標準採用として初のラジアルタイヤを履き、優れた操縦性も獲得した。最高出力119psを活用できるシャシーだった。

意識が遠のくほど素晴らしいパッケージング

今回ご登場願った濃紺のアウレリア・シリーズ4は、工場を出てからかなりの期間イタリア北部で過ごしてきた。英国へやってきたのは最近だという。

ランチアを専門とする英国のソーンリー・ケルハム社は、当初軽いレストアを請け負ったが、すぐにフルリビルドへと展開。ガレージの仕事として誇れる水準に仕上げられ、運転しやすいようにいくつかの改良も加えてある。

ランチア・アウレリアB20 GT(1950〜1958年)
ランチア・アウレリアB20 GT(1950〜1958年)

特に注目すべきはトランスミッション。コラムシフトを当時のオプションだったフロアシフトに改め、積極的なドライブスタイルにフィットさせている。

美しく削り出されたシフトノブが付き、新調されたリンク構造のため若干の手応えがあるが、素早く滑らかに変速できる。シルバーの盤面のメーターにふさわしく、エンジンを活発に扱える。

今回のドライブは「追い越し野郎」のように、丘の上での激しいクラッシュで終わらせるわけにはいかない。宝石のようなV6エンジンからは、シルクのようにスムーズにパワーが生み出される。上質さでは、直列6気筒を完全に凌駕している。

ダークブルーのアウレリアは、公道でも多くの注目を集めた。4台の中で一番の製造品質を備えることにも驚くが、豊かなバリトンボイスにも心が奪われる。

高級時計のようなメーター類から、スボンに引っかからないように配慮されたウインドウ・ノブまで、デザインは繊細で華やか。座り心地のいいバケットシートが並び、意識が遠のくほど素晴らしいパッケージングが完成している。

この続きは後編にて。

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