アルファ・ロメオ・ジュリア GTAmでアルプス越え スーパーカーを目指したサルーン 後編

公開 : 2022.03.12 09:47  更新 : 2022.03.12 22:02

崇高なドライバーズカー、ジュリア GTAm。英国編集部は壮大な冬のアルプス山脈で、その魅力に迫りました。

様々な道をこなすプロセスこそ真価

アルファ・ロメオ側から電話があり、スイス経由が許された。ステルヴィオ峠以外のルートは調べておらず、既に日は傾いている。それでもイタリア北部の町、ソンドリオをスイス経由で向かう方が間違いなく楽しい。

国境へ近い、ズルデルノから西へ走る。琥珀色に染まった森を抜けて、道路は緩やかに上昇していく。オフェン峠が目前に迫る。岩肌が露出し、標高は2149mもある。路面は荒れていて、流れるように気持ちの良いカーブが続くルートではない。道幅も狭い。

アルファ・ロメオ・ジュリア GTAm(欧州仕様)
アルファ・ロメオ・ジュリア GTAm(欧州仕様)

ダンパーが硬くなり、エグゾースト・バルブが開き、EPSが無効になるレース・モードを選ぶ。別名、モンテカルロ・モードだ。ジュリア GTAmのスピードを上げる。

ジュリア・クアドリフォリオが抱えていた、過冷却気味なことや、トルクベクタリング・デフの効きの予測の難しさといった点は、GTAmでも共通している。それでも、水を得た魚のように機敏に走る。

コーナーでは簡単にテールススライドへ持ち込めるが、リアデフはあまりロックしたがらない。それでも不思議なほど、アルプス山脈では気にならない。

GTAmの真価は、様々な道をこなすプロセスにある。ミドシップ・レイアウトのように、小さい慣性で旋回する仕草や、スピードを速めたいという欲望を駆り立てる演出は、他に例がない。

クイックなステアリングに、柔軟なサスペンションが組み合わされている。そこへ、レスポンシブなV6ターボエンジンに、漸進的に効くカーボンセラミック・ブレーキが融合。GTAmという全体像が完成している。

本能的にワインディングを目指してしまう

より速いモデルも、よりダイナミックな走りを楽しめるモデルもある。しかし感覚としては、それ以上に速く、ドライバーへ訴えかける印象が濃い。それこそGTAm最大の特長だろう。多くのドライバーへ、魔法をかけるような仕上がりだ。

辺りは暗くなり、オフェン峠を下る。地形はなだらかになるが、まだアルプス山脈の中にいる。路肩には断崖が迫り、視界も悪い。気が抜けない区間が続く。

アルファ・ロメオ・ジュリア GTAm(欧州仕様)
アルファ・ロメオ・ジュリア GTAm(欧州仕様)

渓谷へ沿うように、サンモリッツ経由でソンドリオの町を目指す。途中、標高2383mのベルニーナ峠へも立ち寄った。ローラーコースターのように曲がりくねり、ヘアピンカーブも連続している。夜間でも、集中していれば素晴らしい道だ。

ジュリア GTAmは、ピタリと正確にラインをたどる。幅の広いトレッドを活かし、乾燥したアスファルトを確実に掴む。ひたすらに愛おしい。

既に数時間も、チャレンジングなルートを運転している。それでも、別のワインディングへ続く交差点へ出くわしたら、本能的に、義務的に、曲がってしまう。魔法へ掛けられたように。

気付くとイタリア国境を超えていて、盆地に佇む小さなソンドリオへたどり着いた。すっかりGTAmは汚れてしまった。後ろを走ってきた、地元のフィアット・パンダ並みに。

一晩を明かし、翌日のランチタイムにはイタリア北部のバロッコ試験場へ到着した。アルファ・ロメオにまつわる、様々な思いが入り乱れる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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