BMW iX 詳細データテスト 至高の快適性 有り余るポテンシャル 好き嫌い分かれそうなルックス

公開 : 2022.03.12 20:25  更新 : 2022.03.13 02:16

BMWのフラッグシップEVは、外観こそアクが強いものの、走らせると洗練ぶりに圧倒されます。使い切れないほどの動力性能を持ちながらも、静粛性や快適性の高さこそ真骨頂。新時代のステイタスシンボルと呼べるクルマです。

はじめに

自動車メーカーの中には、2030年の到来と、そこに向けた世界的な内燃機関の強制排除を前に、1990年代のIT関連企業が2000年問題に戦々恐々としていたのと同じような感覚にさらされているところもあるだろう。しかしながら、これを千載一遇のビジネスチャンスと捉えるメーカーも、わずかながら存在する。

欧州のEV市場のごく初期に、好ましいi3で小さいながらも注目に値する位置を占めたBMWは、短期間でゼロエミッションカーの数々を投入するべく、明らかに忙しい日々を送ってきた。これが白紙からのスタートというわけではなかったが、それでも2030年までに、BMWグループ全体で販売台数の50%を完全電動モデルにしようとしているのだから、それも無理のないことだ。

テスト車:BMW iX xドライブ50 Mスポーツ
テスト車:BMW iX xドライブ50 Mスポーツ    MAX EDLESTON

電動化に本気の世界で、もしも必勝法があるとすれば、主義主張を明らかにした車を用意することだ。そう、今回のテスト対象のような。

BMW iXは、EV専用の完全新設計プラットフォームをベースにした、電動フラッグシップモデル。投入の目的は、競合する電動SUVを圧倒することだけではない。ゼロエミッション時代の高級車を再定義するのも狙いだ。また、電気自動車につきまとう不満を吹き飛ばすことも目指している。

もっともパワフルなバージョンは、600psの一線を超え、公称航続距離は650km近く、価格は11万ポンド(約1705万円)以上となるiX。現在のマーケットにある電動SUVで、これを凌ぐものはほとんどない。今回はもう少し普及版寄りのモデルで、この新たな姿のBMWの実力を検証してみたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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