ユニークさが強める説得力 アルファ・ロメオ・ジュリアへ試乗 3度目のアップデート

公開 : 2023.05.22 08:25

美しいイタリアン・サルーンが3度目のアップデート。ユニークなパッケージングで説得力は高いと、英国編集部は評価します。

登場から7年目に3度目のアップデート

アルファ・ロメオジュリアが登場してから7年が経過した。一般的なモデルの場合、そろそろモデルチェンジを向えてもいい頃だ。スタイリングは時代の変化を感じさせるようになり、車載技術にはアップデートが必要になってくる。

ただし、少しクラシカルな雰囲気を漂わせていた方が魅力的に映る場合もある。イタリアン・サルーンは、その最たる例だと思う。

アルファ・ロメオ・ジュリア・ヴェローチェ(英国仕様)
アルファ・ロメオ・ジュリア・ヴェローチェ(英国仕様)

そんなジュリアは、2023年仕様として3度目のアップデートを受けた。新しいコンパクトSUV、トナーレとイメージが重なる3連のLEDヘッドライトが、外観でのわかりやすい違いになる。アルミホイールのデザインも一新されている。

インテリアでは、メーターパネルがモニター式へ変更。エンジンは、英国仕様では280psを発揮する2.0L直列4気筒ガソリンターボのみへ、選択肢が絞られた。ティーゼルターボは、もはや選べない。

2.7L V6ツインターボの高性能なクアドリフォリオも、現在はラインナップから落ちている。だが、こちらは2023年の後半には復活するという。

モデル後期のフェイスリフトとして、さほど意欲的な内容とはいえないだろう。しかし、最新テクノロジーを満載した、まったく新しいバッテリーEVのジュリアの開発も進んでいる。アルファ・ロメオの最新サルーンに、注目が集まる日は遠くないかもしれない。

能力の6割での走りが最もバランスする

一方、多くの自動車メーカーがダッシュボードから実際に押せるハードボタンを省き、タッチモニターへ集約し、四輪駆動でハイブリッドのSUVへ力を込めるなかで、現行のジュリアはユニークさを強めている。よりシンプルな技術に、惹かれることも事実だ。

フェイスリフト後のジュリアは素晴らしい。従来どおり。

アルファ・ロメオ・ジュリア・ヴェローチェ(英国仕様)
アルファ・ロメオ・ジュリア・ヴェローチェ(英国仕様)

ドライビングポジションは低く理想的で、前後左右の視界も良好。インテリア素材の一部には価格にそぐわないものも含まれるとはいえ、製造品質は高くソリッドだ。

車線維持支援システムをオフにするスイッチや、インフォテインメント・システム用のロータリーダイヤル、エアコンのノブなど、慣れ親しんだインターフェイスがうれしい。わずらわしい、タッチセンサーは見当たらない。

メーターパネルはモニター式になったが、グラフィックは従来的な丸いメーターで見やすい。1960年代風のグラフィックも選べるという。

一般道を走り始めると、1429kgという軽い車重のおかげで、280psの最高出力をしっかり体感できる。ステアリングはクイックながら、重心の低いシャシーと相まって、過剰には感じられない。ドライバーとの一体感を伴って、タイトに反応する。

ジュリアの能力の6割くらいで走っている時が、最もバランスが取れている。乗り心地はしなやかで安定していて、コーナーを勢いよく旋回でき、幸せを感じる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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