内燃アルファ・ロメオの「金字塔」! ジュリア・クアドリフォリオへ試乗 2.9L V6はフェラーリから着想

公開 : 2024.03.26 19:05

ベスト・スポーツサルーン、ジュリア・クアドリフォリオがアップデート フェラーリV8から着想を得た2.9L V6 センセーショナルな動的能力と操縦性 英国編集部が評価

内燃エンジン・アルファ・ロメオの金字塔

2017年に華々しくデビューしたアルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオが、2024年仕様としてアップデートを受けた。変化度は小さいが、ベスト・スポーツサルーンの1台といえる仕上がりに、変わりはないようだ。

最近はクロスオーバーが幅を利かせているが、ここ10年のラインナップで最も面白いモデルは、しっかり生き残っている。ジュリア・クアドリフォリオは、BMW M3やメルセデスAMG C 63と競争しても、恐らく勝てる実力を保持している。

アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(英国仕様)
アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(英国仕様)

能力は非常に高い。新しいAMG C 63がV8エンジンから手を引いたことを踏まえれば、アドバンテージは広がったといっていい。

アルファ・ロメオは、2027年までに全ラインナップをバッテリーEVへ置き換えるという。この4ドアサルーンが、ブランドにおける内燃エンジン・モデルの金字塔になるのかもしれない。

ベースのジュリアは、先進的な技術を備え、比較的軽量に仕上がっている。このパッケージングが、煮詰められたサスペンションと洗練されたパワートレインで武装する、クアドリフォリオの確かな土台となっている。

プラットフォームはスチール製。サブフレームやサスペンション、ドアやフェンダーなどには、軽量化のためアルミ材が用いられている。クアドリフォリオのボンネットとドライブシャフトは、カーボン製だ。

オプションで、ルーフもカーボン製に置き換えられる。アクティブ・フロントスプリッターも装備できる。

フェラーリのV8から着想を得た2.9L V6

車重は1660kgと主張されるが、AUTOCARによる2017年の計測では、1700kg丁度。先代のAMG C 63より間違いなく軽量だった。当時と異なり、最新のM3は四輪駆動で1805kg。ジュリア・クアドリフォリオの軽さが光る。

フロントに載る2.9L V6ツインターボエンジンの最高出力は、今回の改良で10ps増しの520psへ上昇。最大トルクは61.1kg-mを発揮する。

アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(英国仕様)
アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(英国仕様)

アルファ・ロメオは、この2.9L V6エンジンが、フェラーリの3.9L V8ツインターボから着想を得たものだと認めている。詳しく見てみると、ボアとストロークは同じで、バンク角はともに90度。圧縮比も近く、IHI社製のターボチャージャーも共有している。

実際は、単なる着想だけではないだろう。技術者も、フェラーリとの縁が深い人物だ。

従来的な後輪駆動で、クラッチを内蔵したトルクベクタリング・リアデフは、2024年仕様から一般的な機械式リミテッドスリップ・デフに置き換えられた。安価なアイテムだとしても、動作はシンプルで挙動を理解しやすい。

アダプティブダンパーが組まれるサスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン式で、リアがマルチリンク式。ブレーキは、電気機械式のバイワイヤ・システムを採用する。マレリ社のシャシー・コンピュータが、各コンポーネントを統合制御する。

英国仕様の場合、8速ATが標準。19インチ・アルミホイールは2つのデザインから選べる。オプションで、カーボンセラミック・ブレーキディスクを組むことも可能だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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