北米頂点の1台 キャデラックCT4-V ブラックウィングへ試乗 BMW M3を迎え撃つ

公開 : 2022.03.30 08:25

ドライバーに大きな自信を与えるシャシー

CT4-V ブラックウィングのステアリングホイールを握ると、そのアグレッシブさに圧倒される。確かに6.2L V8スーパーチャージャーが載るCT5-Vと比べれば、トルクやサウンドは控え目。それでも、心が奪われずにはいられない。

V6ツインターボが放つ478psに、不足を感じる場面はない。流れの良い郊外の一般道では、とりわけ痛快。10速ATも2・3段飛ばしでのシフトダウンで、勢いを保ってくれる。

キャデラックCT4-V ブラックウィング(北米仕様)
キャデラックCT4-V ブラックウィング(北米仕様)

これだけのパワーだけあってサーキット走行も前提で、ドライブ・モードにはトラック(サーキット)が用意された。トラクション・コントロールの制御もマルチステージ化され、介入度合いが変化する。

実のところ公道を走る限りは、穏やかなツアー・モードかスポーツ・モードのままで問題ない。乗り心地は上質でありながら、姿勢制御もタイト。カリフォルニアのチャレンジングなルートにも、不満なく対応できていた。

マグネティック・ダンパーは、攻め込んだ走りでも恐怖を感じさせない。能力の高いカップ・タイヤかのように、パイロットスポーツ4Sのグリップ力も引き出している。

反応に優れ正確なステアリングと、強力なブレーキも組み合わさり、CT4-V ブラックウィングはドライバーに大きな自信を与えてくれる。アグレッシブなスタイリングを裏切らない。

砂埃の浮いたカリフォルニアのワインディングではなく、サーキットでそのすべてを解き放てば、更なる喜びを与えてくれるはず。今回は機会がなかったが。

北米スポーツサルーンの頂点

CT4-V ブラックウィング最大のストロングポイントは、秀でた動的能力と、豊かなクルマとの一体感。比較的コンパクトなボディというパッケージングも良い。ドイツ製ライバルの半額程度という価格も魅力だろう。

もし2ドアボディで良ければ、1LEトラック・パッケージを装備したシボレーカマロというチョイスも悪くないと思う。シャシーに採用されるハード面はほぼ同等で、80万円ほど価格が安く、V8エンジンも載っている。

キャデラックCT4-V ブラックウィング(北米仕様)
キャデラックCT4-V ブラックウィング(北米仕様)

ただし残念ながら、英国ではこの特別なキャデラックを正規ディーラー網から購入することはできないようだ。一層獰猛な、CT5-V ブラックウィングと同様に。

キャデラックCT4-V ブラックウィングは、北米のスポーツサルーンの頂点に位置づけられる。内燃エンジンの美味しい蜜を味わうなら、今しかないことは確かだ。

キャデラックCT4-V ブラックウィング(北米仕様)のスペック

北米価格:5万8995ドル(約678万円)/8万265ドル(約923万円/試乗車)
全長:4755mm
全幅:1816mm
全高:1422mm
最高速度:304km/h以上
0-100km/h加速:3.9秒
燃費:8.1km/L
CO2排出量:−
車両重量:1747kg
パワートレイン:V型6気筒3564ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:478ps/5750rpm
最大トルク:61.4kg-m/3500rpm
ギアボックス:10速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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