エントリーグレードでも特別感 マセラティ・グレカーレ GTへ試乗 2.0L直4マイルドHV

公開 : 2023.05.31 08:25

高級感漂うインテリアと乗り心地

グレカーレのシートとダッシュボードを包むレザーや、装飾用のウッドパネルには高級感があり、見た目もスタイリッシュ。ベーシックグレードのGTながら、車内には特別な雰囲気が漂う。

皮肉的な人は、ステルヴィオの特別仕立て、グラン・リュクスと呼ぶかもしれない。だが、それ以上のラグジュアリーさがあると思う。

マセラティ・グレカーレ GT(英国仕様)
マセラティ・グレカーレ GT(英国仕様)

加えて、エネルギー効率も悪くない。スポーティなドライブモードを選ばず、丁寧に右足を傾けている限り、一般道でも燃費は11.0km/Lを超える。ブランドらしく、少し活発に飛ばしても9.0km/L以上は得られる。

マイルドとはいえ、ハイブリッドの燃費としては振るわないかもしれない。しかし0-100km/h加速を5.6秒でこなす、車重1870kgのSUVとして褒めていいだろう。マセラティのオーナーが、強い不満を感じることはないはず。

エアサスやアダプティブダンパーが備わらないグレカーレ GTとはいえ、乗り心地や操縦性も優れている。試乗車にはオプションの20インチ・ホイールが履かされていたが、それ以外は標準仕様のまま。それでも適度に柔軟で、身のこなしは軽快だった。

路面からの入力を巧みに処理しつつ、過度なソフト感はなく、姿勢制御は洗練されている。速度域を問わず姿勢制御はタイトで、大きなボディを見事に制御。贅沢感すら匂わせる、落ち着きが備わっている。

高速域では、減衰力が若干足りないのか、大きなコブで僅かに弾むような仕草も感取された。ホイール・サイズを1インチ下げるだけで、効果はあるだろう。

エントリーグレードでも訴求力は高い

操縦性に関しても、このクラスのSUVとしてはバランスがいい。ジョルジオ・プラットフォームへ期待する通りといえる。

ステアリングはアシスト量が強めで、感触は薄め。それでも操舵に対して、フロントノーズはリニアでシャープに反応する。コーナーではボディロールも抑えられ、充足感が高い。絶対的な速度域は少し低めだとしても、活き活きとした走りを味わえる。

マセラティ・グレカーレ GT(英国仕様)
マセラティ・グレカーレ GT(英国仕様)

2.0L直列4気筒エンジンは充分なレスポンスで、清々しいパワーデリバリーを叶えている。大柄なSUVとして、動力性能に不足はない。ただしサウンドは単調で、ドラマチックさは薄けれど。

マセラティらしいキャラクターやスポーティさは得ていないが、高級SUVのエントリーグレードとして、強い不満を抱くほどではない。しっかり仕事をこなすユニットだ。

もし速さと興奮を求めるなら、トロフェオなど違うグレードを検討した方がいいだろう。マセラティは、バッテリーEV版のグレカーレ・フォルゴーレの開発も進めている。

とはいえ、豪華な中型SUVをお探しで、周囲とは異なるブランドをお考えなら、グレカーレの訴求力は間違いなく高い。エントリーグレードのGTであっても。

マセラティ・グレカーレ GT(英国仕様)のスペック

英国価格:6万1570ポンド(約991万円)
全長:4847mm
全幅:1979mm
全高:1667mm
最高速度:239km/h
0-100km/h加速:5.6秒
燃費:10.9-11.5km/L
CO2排出量:198-208g/km
車両重量:1870kg
パワートレイン:直列4気筒1995ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:300ps/5750rpm
最大トルク:45.8kg-m/2000-4000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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