1.2L HVの新型クロスオーバー ルノー・オーストラルへ試乗 燃費は良好 惜しい乗り心地

公開 : 2023.06.30 08:25

意外に長くモーターだけで走れる 燃費は良好

インテリアでは、運転席正面のメーターパネルがモニター式で、ダッシュボード中央には12.0インチのインフォテインメント用タッチモニターが据えられる。エアコンの操作パネルが独立していて、扱いやすい。

インフォテインメント・システムは、グーグルのアンドロイド・オートに対応。アップル・カープレイも利用できる。

ルノー・オーストラル Eテック・アイコニック・エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)
ルノー・オーストラル Eテック・アイコニック・エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)

内装では、頻繁に手が触れるような位置の素材には気が配られている。足もとには安っぽいプラスティック製部品も少なくないが、価格を考えれば妥当だろう。リアシートはスライド式で、荷室の容量は555Lまで広げられる。

実際にステアリングホイールを握ってみると、市街地ではエンジンがしばしば停止し、駆動用モーターだけで走れる時間が短くない。また、走行中はエンジンが突然始動し、比較的高めの回転数で発電し始める場面もあった。

ISGがエンジンの回転と走行速度を合致させるようアシストを加え、スムーズさが保たれている。若干ノイジーながら、質感は滑らかだと感じた。

エネルギー効率は良好といえ、短距離ではあったが今回の試乗での平均燃費は21.0km/Lを軽く超えていた。市街地では24.0km/Lまで伸びることもあり、現実的にカタログ値へ近づけることも難しくない。

褒めにくい乗り心地 リモート感のある操舵

トリムグレードにはアルピーヌという名が与えられているが、そこには大きな期待を抱かない方がいいだろう。ステアリングホイールの手応えには、リモート感がある。

後輪操舵システムは、低速域ではフロントタイヤと逆位相にリアタイヤの向きを変え、軽快な身のこなしをアシスト。高速域では同位相に制御され、安定性を高めようとするが、僅かにドライバーの操舵との不一致感があった。徐々に慣れたが。

ルノー・オーストラル Eテック・アイコニック・エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)
ルノー・オーストラル Eテック・アイコニック・エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)

乗り心地は、正直なところ褒めにくい。カーブでのロールや、加減速時のピッチは抑えられているものの、荒れた路面を通過するとゴツゴツとした振動を伝え、頭が揺さぶられることも。英国のように、舗装状態が悪い環境との相性はいまひとつだ。

全体としては、魅力的なファミリー・クロスオーバーといえるオーストラル。優れない乗り心地が惜しい。

ルノー・オーストラル Eテック・アイコニック・エスプリ・アルピーヌ(英国仕様)のスペック

英国価格:3万9495ポンド(約636万円)
全長:4510mm
全幅:1825mm
全高:1644mm
最高速度:175km/h
0-100km/h加速:5.6秒
燃費:20.4km/L
CO2排出量:110g/km
車両重量:1517kg
パワートレイン:直列3気筒1197ccターボチャージャー+電気モーター+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:199ps(システム総合)
最大トルク:41.6kg-m(システム総合)
ギアボックス:2速リダクション(電気モーター)+5速オートマティック(内燃エンジン)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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