ルノー・セニック 詳細データテスト 及第点の走り 長い航続距離 乗り心地や質感は今後の向上に期待

公開 : 2024.07.06 20:25

小型MPVの先駆けとなったセニックが、SUV的なクロスオーバーのEVに生まれ変わりました。フランス車に期待するような快適性や斬新さは物足りず、改善の余地はあるものの、ファミリー向けEVとしてはなかなか優秀です。

はじめに

新型ルノー・セニックについて、長所や短所、クセなどについてはこの後で掘り下げていくとして、ここではパッと見でわかる話をしていこう。

この5代目モデル、まず気づくのは、最近よくある2ボックスのクロスオーバーだということ。過去4世代が1ボックス的な、フランス風にいうならモノスペースだったセニックとしては、劇的な変化だ。1990年代中盤の最初期型は、先見の明があったルノーのチーフデザイナー、パトリック・ル・ケモンの発明ともいうべき、合理的なサイズのMPVの元祖的存在だった。

テスト車:ルノー・セニックE−テック・アイコニック・ロングレンジ
テスト車:ルノー・セニックE−テック・アイコニック・ロングレンジ    JOHN BRADSHAW/MAX EDLESTON

当時はパッケージングと使い勝手の啓示のようにみなされたセニックも、パッケージングに関してはいまや数多ある同類の中に埋もれてしまった。そして、市場のニーズはMPVからSUVへと主流を移している。

しかし、デザインを2ボックスへ移行したMPVが、否定しようがないほど見栄えがよくても、それだけで成功が保証されるわけではない。そこでこの新型セニックは、もうひとひねり加えて、完全電動化を図り、4万ポンド(約812万円)前後の中型クロスオーバーEVという激戦区に身を投じた。

ライバルは、テスラモデルYフォルクスワーゲンID4、プジョーの新型e-3008をはじめ、欧州で人気のスコダ・エンヤックや、ヒョンデアイオニック5の下位機種、そしてメカニズムの共通点も多い日産アリアなどだ。1996年デビューの初代ほど、ニッチなカテゴリーではない。

それでもルノーは、シャープなエクステリアやリサイクル素材をうまく使ったインテリア、公称航続距離の強みや十分なパフォーマンスなどにより、多くのユーザーに選ばれると考えているようだ。果たして、リアルな実力はいかほどか、検証してみたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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