ランボルギーニ「SC63」発表! 最高峰の耐久レースを闘うHVマシン、モータースポーツ部門幹部が語る

公開 : 2023.07.13 17:48  更新 : 2023.07.14 13:55

「コールドV」のV8ターボとは

ーーLMDhマシンのSC63は、ランボルギーニが推し進めるコウ・タウリ戦略の一環であると考えられますか?

「我々は、LMDhももちろんそうですが、モータースポーツ全般が自動車メーカーとしての戦略(コウ・タウリ)の一環であると考えています。それは技術開発の面においても、あらゆる点でノウハウを蓄積するうえでも最適なプラットフォームといえるでしょう」

ランボルギーニSC63(プロトタイプ)
ランボルギーニSC63(プロトタイプ)    ランボルギーニ

「今回LMDhのカテゴリーに参戦することを決めたのは、最新のハイブリッド技術に触れることができるチャンスがあると考えたからなのです。将来的にはロードカーにそのノウハウを採用し、ブランドのパフォーマンスを証明する。つまりスポーティな志向のカスタマーの要求により強く応えるという意味もあります」

「確かにLMDhはトップ・カテゴリーのモデルではありますが、そのノウハウをベースに新しいGT3やスーパートロフェオなどを開発する計画もあります」

ーーSC63には新開発となる3.8LのV型8気筒ツインターボエンジンが搭載されていますが、コールドV構造と呼ばれるVアングルの外側にターボをマウントする方式は、将来的には市販車にも導入される計画があるのでしょうか。

「このエンジンは、今回スクアドラ・コルセのチームが中心となって、SC63のために白紙から設計されたものです。重心の低下や安定、市販車とは異なりCO2エミッションの規定がないことなどから、この設計を決めました。市販車への技術移行は、そういうチャンスが訪れるかどうかを検討するかもしれませんが、そのためにはパフォーマンスとともに認証を得ることが最優先の課題です」

リジェのモノコックを選んだ理由

ーーLMDhには4タイプのモノコックが用意されていると思いますが、なぜランボルギーニはその中からリジェ製を選択したのでしょうか。また今回のIMSA、もしくはWECへの参戦に関しては、ファクトリー・チームを組織するのではなく、カスタマー・チームにその活動を委ねる決断を下したのはなぜかを教えてください

「我々は2024年シーズンのLMDhマシンの開発を進めてきました。そのタイミングを考えるとアウディ・グループからの承認もあり、100%ランボルギーニの自由が効くモノコック・メーカーとしてリジェを選択するのが最適な策でした。実際にこの著名なモノコック構造の開発・製作パートナーと車体を作り上げていくことができました」

日本のメディア向けにオンラインインタビューの機会を用意してくれたジョルジオ・サンナ(左)。
日本のメディア向けにオンラインインタビューの機会を用意してくれたジョルジオ・サンナ(左)。    AUTOCAR JAPAN

「スクアドラ・コルセは、その名前のとおりカスタマー・レース部門です。優秀なカスタマーにレースカーを販売し、その活動をサポートするという体制は、LMDhカーでも変わりません。今回はそのパートナーとしてアイアン・リンクスというチームを選ばせていただきましたが、その活動に関してはフルサポートの体制で臨む予定です」

記事に関わった人々

  • 執筆

    山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。

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