シンプル・イズ・ベストを体現する名車 20選 質素で安くて魅力いっぱいのクルマ

公開 : 2023.08.27 18:05

ルノー4(1961年)

ルノー4はシトロエン2CVへの対抗馬として語られることが多いが、実はこの2台はまったく異なる指針によって形作られた。先に述べたように、2CVは主に、初歩的な移動手段に代わるものとして作られたのに対し、ルノーのピエール・ドレフュス(1907-1994)社長は4をジーンズに相当する自動車としてイメージしていた。安くて汎用性があり、何よりも耐久性がなければならない。

1961年に発表された4は、競合他社の大半に先駆けて、背の高いハッチバックボディと折り畳み式の後部座席を消費者に提供した。また、前輪駆動であったが、シンパーが製造した四輪駆動モデルもある。窓は水平方向にスライドし、シフトリンケージはファイアウォールを貫通してエンジンを越え、トランスミッションへと下りている。生産は1994年に終了したが、そのスピリットは間違いなく現代のカングーに受け継がれている。

ルノー4(1961年)
ルノー4(1961年)

トラバント601(1964年)

トラバント600の後継として設計された601は、東欧諸国の数ある交通手段の中で最もシンプルで安価な選択肢だった。当時の自動車業界の「最小公倍数」であるため、派手なもの、例えば4ストローク・エンジンなどは不要。30年近くの間、購入者は2サイクル2気筒エンジンとデュロプラスト製のボディパネルに落ち着いていた。唯一の大きな変化は1990年、フォルクスワーゲン・ポロの1.1L 4ストローク4気筒エンジンが導入されたことだった。

同年に東西ドイツが統一され、東ドイツ人はそれまでの自国の通貨を西ドイツ・マルクに高額レートで両替できるようになった。彼らはフォルクスワーゲン・ゴルフを買い求めたため、トラバントの販売は崩壊し、1991年に生産が終了した。

トラバント601(1964年)
トラバント601(1964年)

ポルシェ914(1969年)

フォルクスワーゲンの空冷フラット4エンジンを搭載したクルマは、ほとんどすべてが非現実的ともいえるシンプルさを特徴としているが、ポルシェ914はエンスージアストのために開発されたという点で際立っている。スポーツカーにありがちな複雑さを排除し、極めてバランスの取れたハンドリングと十分な性能、そしてカリスマ性のあるデザインを実現したのである。一部の914にはフラット6が搭載されたが、大半はフラット4を搭載している。

ポルシェ914(1969年)
ポルシェ914(1969年)

AMCグレムリン(1970年)

1970年代に販売された米国車で、「ベーシック」と正確に表現できるものはほとんどないが、AMCグレムリンはそれに近い。欧州やアジアから輸入されたエコノミーカーの代替として開発されたため、コストが非常に重要なポイントとなった。

1970年4月1日に発売されたホーネット由来のグレムリンは、2人乗りが標準であり、3人乗りが必要な場合は折りたたみ式のリアベンチを追加購入する必要があった。1970年の販売はわずか872台と惨憺たるもので、AMCは1971年モデルでグレムリンを廃止した。

AMCグレムリン(1970年)
AMCグレムリン(1970年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ロナン・グロン

    Ronan Glon

  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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