水素で走る商用車 KTMなどが開発、航続距離400km 「折り紙」に着想得た設計

公開 : 2023.10.31 06:05

・水素燃料電池を搭載した小型商用車のプロトタイプが登場。
・KTMとH2Xグローバルが共同開発、「折り紙」イメージの設計に。
・実現に向けて主要サプライヤーと協議中。

小型の水素商用車、プロトタイプ公開

スポーツカーやバイクの製造で知られるオーストリアのKTMと、燃料電池車を専門とするオーストラリアのH2Xグローバル社は、水素で走る小型商用車「ダーリン」を発表した。

日本の「折り紙」に着想を得た軽量プラットフォームを採用し、従来構造に比べて製造と整備が容易で柔軟性も高く、さまざまなバリエーションの商用車に対応しているという。両社は昨年、水素燃料電池車の開発で提携を発表した。

H2Xグローバルが展開する水素商用車「ダーリン」
H2Xグローバルが展開する水素商用車「ダーリン」    H2Xグローバル

H2Xグローバルは、この新プラットフォームによって製造工程の持続可能性が高まると同時に、「一般的なシートメタル成形工程のコストドライバー」である金型への投資コストを削減できると述べている。

今回公開されたダーリンは、まだ開発の初期段階にあるものの、同車の実現可能性を検証するために「主要サプライヤー」と協議中であるという。積載量3500kg、牽引力2550kg、航続距離400kmとされる。

技術的な詳細は伏せられているが、KTMテクノロジーズのテクニカル・プロジェクト・マネージャーであるアンディ・シューマッハ氏は、「H2Xグローバルとのコラボレーションに感激している」と述べた。

「このパートナーシップにより、H2Xグローバルの革新的なビジョンと、自動車産業向けの水素エネルギー・ソリューションの先駆者としての貢献を間近に見ることができました」

「自動車工学の限界に挑戦する企業として、KTMは、環境に優しく画期的な自動車を創造する水素技術の計り知れない可能性を認識しています」

水素燃料電池は、特に商用車メーカーが関心を寄せている技術であり、航続距離の長さと水素補給時間の短さが大きなメリットとなる。欧米系の自動車大手ステランティスも欧州で水素商用車を展開しているほか、さまざまな新興企業が開発に取り組んでいる。

トヨタもまた、水素燃料電池の開発の焦点を乗用車から商用車に移す姿勢を見せている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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