世界のワイルドすぎるクルマ 43選 後編 平凡からかけ離れた異端児たち

公開 : 2022.09.24 18:25

安定した売上を目指すと、どうしても保守的な製品が多くなります。しかし、メーカーだってたまには「冒険」したいもの。後編でも引き続き、革新的なデザインのクルマを紹介していきます。

フィアット・ムルティプラ

1998年に登場した2代目ムルティプラは、2列6人乗りという独特なシート配置を持つ、ひときわフレンドリーで社交的なミニバンであった。

先代の600ムルティプラに敬意を表してか、フィアットはこの新型車に極めて特異な外観を与えた。英国で販売されたモデルには、リアウインドウに「Wait until you see the front!(フロントエンドにご期待ください)」というステッカーが貼られていた。

フィアット・ムルティプラ
フィアット・ムルティプラ

しかし、この外観は一般受けが悪かったようで、2004年以降、ムルティプラはオーソドックスなデザインになった。面白さは失われてしまっている。

フォードRS200

フォードが生産した中で最も過激なクルマの1つであるRS200。ラリーに参戦するために作られたモデルで、低く構えたボディ、ミドマウントのコスワース製ターボエンジン、四輪駆動システムを備えている。

RS200はWRC世界ラリー選手権の参戦を見据えていたが、1987年の劇的なルール変更により、参加資格は失われてしまう。

フォードRS200
フォードRS200

しかし、21世紀に入ってもさまざまなモータースポーツに挑み続けた。生産中止から30年以上経った現在でも、その姿は極めて新鮮で、現存する個体は大変貴重である。

ホンダインサイト

今となっては、ハイブリッド車とそうでないクルマとで外観が異なる必要はない。しかし、1999年に初代インサイトを発売したホンダは、違いを見せつける必要があると考えた。

超空力的なフォルムとスパッツで覆われた後輪から、2年前にデビューしたトヨタプリウスよりもはるかに特異な存在に見える。ただ、10年後に発売された2代目インサイトは、ごく普通のクルマに見えてしまった。

ホンダ・インサイト
ホンダ・インサイト

ハドソン・イタリア

デトロイトのハドソンとミラノのカロッツェリア・ツーリングによる共同開発車。メカニカルパーツは、生産中止となったばかりハドソン・ジェットに由来するもの。ジェットはいかにも平凡なセダンであり、イタリア人はこのデザインセンスを許さなかったらしい。

ヘッドライトの上に取り付けられたエアスクープが最大の特徴だが、それを抜きにしても、中央が逆V字になったフロントバンパー、部分的に隠れたホイールなど、多くのディテールが非常に目を引くクルマであった。しかし、残念なことにハドソン・イタリアはあまり売れなかった。1953年と1954年にわずか26台が生産されたのみである。

ハドソン・イタリア
ハドソン・イタリア

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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