『趣味性』と『実用性』の絶妙な均衡 ジープ・コマンダー

公開 : 2025.11.14 13:05

タフなだけじゃなく、今どきの装備も充実

SUVが都会のビル街の景色に馴染むのは、実用ありきのワゴン・スタイルを継承しているからだろう。

それでもグレーのジープ・コマンダーがマジメ一辺倒に見えないのは、グレーのボディの腰上、キャビン部分がブラックに塗られているからに違いない。またフェンダーの縁取りやサイドシルなど、もともと汚れやすい箇所を無塗装の黒にしておくという工夫も、洗練された感じに映る。

早朝の都心でいくつかのシーンを撮影し、首都高から中央自動車道へ。

今回の設定は、これから行動範囲を広げていきたい3人家族。パパがステアリングを握り、ママと娘さんは足元が広いリアシートでゆったり寛ぐというのも贅沢な使い方といえるだろう。もちろんサードシートを折りたたんだリアの荷室は広大なので、持っていくかどうか悩む荷物があってもとりあえず積んでおけばいいのだ。

外観からは窺えないコマンダーの価値があるとすれば、それは『走り』の部分だろう。思いのほか静かでトルクフルな2Lのディーゼルユニットと9速AT、そして天候や路面を選ばないAWDの組み合わせはとにかくラクチン。

高速道路でストップ&ゴーもこなしてくれるACCとハイウェイアシストを作動させれば、緊張感とは無縁な快適ドライブが楽しめる。

ジープというとつい遊び心の部分に気持ちが行ってしまうものだが、現代のクルマ選びで重要視される安全性や機能についてもきちんとカバーされているのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。

関連テーマ

おすすめ記事


人気記事