【第15回】森口将之の『もびり亭』にようこそ:老舗イベントで体感したEVオーナーのリアル

公開 : 2025.12.10 12:05

モビリティジャーナリストの森口将之が、モビリティの今と未来を語るこのブログ。第15回は、毎年秋に開催している『日本EVフェスティバル』について。このイベント、なんと今回で31回目となるそうです。

今年で第31回という老舗EVイベント

先月は横浜市で行われた、日本EVクラブ主催の電気自動車のイベント『日本EVフェスティバル』の手伝いをしてきました。

日本EVクラブは1994年、大先輩の自動車評論家である舘内端さんが設立した団体で、現在は一般社団法人になっています。EVに関係するさまざまなイベントやアクションを行っており、毎年秋に開催している日本EVフェスティバルはそのひとつです。

メーカー、クラブ、コンバートEVなど多彩な展示。
メーカー、クラブ、コンバートEVなど多彩な展示。    樋口涼

驚くのは今年で第31回を数えること。量産EVのパイオニアと言われる三菱i-MiEVや日産リーフの登場より前にスタートしているのです。

最近一部の自動車メーカーやメディアが、EVのことをBEVと呼んでいます。どういう思惑があるかはわかりませんが、BEVという言葉が生まれるはるか前から、EVフェスティバルは存在しているわけで。ここでもEVと呼びます。

日本EVフェスティバルは、当初はコンバートEVのレースが主体でしたが、2020年に東京お台場に会場を移転し、都市型イベントに切り替わりました。そして今年、横浜の日本大通りに場所を移しました。

僕はお台場時代にも手伝いで行ったことがありますが、場所は日本科学未来館の近くで、ビッグサイトや商業施設が並ぶエリアからは離れており、週末開催ではありましたが、人があふれるような感じではありませんでした。

それに比べると今回の場所は、赤レンガ倉庫や大さん橋、中華街といった横浜の観光名所から徒歩圏内で、日本大通り駅から徒歩1分という利便性もあって、周辺を通り掛かる人の数は明らかに多いと感じました。

実際、日本EVクラブが発表した今回の来場者数は約4700人(出展者、スタッフ含む)で、お台場時代の約6倍になったとのことでした。

イベントの目玉はEV&PHEV試乗会

広場や駐車場などではなく、日本大通りという公道を封鎖しての開催も、これまでと違っていました。目の前は神奈川県庁。つまり横浜の中心です。

横浜市では日本大通りのイベント利用を受け付けていて、クルマ関連も過去にエコカー試乗会などが開かれたことがあります。とはいえ横浜市は1971年、他の自治体に先駆けて都市デザインを考える組織が作られており、景観へのこだわりは強いので、自由に開催できるというわけではありません。

横浜では初開催ながら多くの人が訪れた。
横浜では初開催ながら多くの人が訪れた。    樋口涼

当日は晴天に恵まれ、日本大通りのいちょう並木も色づき、最高のロケーションでした。自動車メーカーやオーナーズクラブの車両、コンバートEV、EVレーシングカートなどが展示されたほか、充電器の展示なども行われ、近くの横浜市開港記念館ではEVシンポジウムも開催されました。

僕はイベントの目玉でもあるEV&PHEV試乗会のお手伝いで、助手席に同乗して、車両の説明をしながらコースを案内しました。担当したのは三菱アウトランダーPHEV、ホンダN-VAN e:、BYDシールの3台。いずれも過去に試乗したことがある車種なので、説明はスムーズに行うことができました。

興味深かったのは、試乗を申し込んだ人たちとの会話でした。相手の運転に支障のない範囲で話をしたのですが、まず印象的だったのは、EVを所有している、あるいは所有していた人が多かったことです。

テスラのオーナーは3人ぐらいいたし、ミニ・エースマンに乗っている人、かつて日産リーフを所有していた人などがいました。展示もされていた電動カートのレーシングチームのメンバーもいました。

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。

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