クルマ漬けの毎日から

2025.12.07

バイワイヤの次世代ステアリングシステム「ハイパースクエア」を装備したプジョーに試乗。この四角いステアリングは、次期208にオプション設定される見込みです。

プジョーの次世代ステアリング「ハイパースクエア」を体験!【クロプリー編集長コラム】

もくじ

プジョーの新コンセプト「ポリゴン」
バイワイヤのステアリングシステム

プジョーの新コンセプト「ポリゴン」

欧州COTY(カー・オブ・ザ・イヤー)の審査員を務める同僚のマーク・ティショーの代理として、私は一時的に再びCOTYの_審査員となり、ポルトガルへ向かった。

その目的は、プジョーの非常に魅力的な新コンセプトカー「ポリゴン」を実際に見ることだ。

プジョー・ポリゴン・コンセプト

プジョーの経営陣は、この端正なコンセプトカーは次期208(2027年に登場予定)を予告するモデルであることを率直に認めている。デザイナーたちによれば、ガルウィングドアにはならないとのことであるが、このコンセプトには次期208の要素が盛り込まれている。

なぜプジョーが美しいクルマをつくり、またデビューの2年前から宣伝活動する必要があるのか? その理由は明白だ。

宿敵ルノーが新型「5」と「4」でめざましい成功を収めており、またまもなくヨーロッパで発売される新型トゥインゴでも、同様の成功が予想されているからだ。

バイワイヤのステアリングシステム

じつは私たちはプジョー・ポリゴン・コンセプトに試乗し、先駆的なバイワイヤのステアリングシステム「ハイパースクエア」を試すことになっていた。

しかし、ポルトガルは大雨に見舞われ、プジョーはポリゴンの試乗は残念ながら実施しないことにした。その代わりに私たちは、ハイパースクエアを装備した2008の試作車に試乗して、この次世代ステアリングシステムを体験することになった。

2008(試作車)に装備された新ステアリングシステム「ハイパースクエア」

ハイパースクエアには多くの利点がある。車体前部の構造を簡素化できるうえに、従来のステアリングシステムよりもギヤ比とステアリングの操舵力を幅広く変えることが可能だ。

プジョーのアラン・ファヴェ新CEOは、2027年に登場する新型208では、最廉価バージョンを除くすべてのグレードに、ハイパースクエアをオプション設定したいと考えている。

ドライバーが握るのは長方形の変わったステアリングであるが(70年代のオースティン・アレグロ初期モデルの四角いステアリングを思い出す人もいるだろう)、人間工学的には優れている。

この新機構のステアリングシステムは、極低速域のギヤ比を5倍ほども高めることができる。つまり、ドライバーはステアリングを4分の1以上回すことなく、バックで駐車できるのだ。

だが、いま私が気になっているのは、ステアリングフィールが期待よりも希薄なため、クルマとのつながりがあまり感じられないこと。

また、高速で長いカーブを走行する時、ステアリングに適度な手応えが感じられるのかも、まだわからない。というのも、今回の試乗ではこの点を確かめられるほど十分なスピードで走れなかったから。

プジョーのエンジニアたちはまだこのシステムを調整中であるが、これまでの成果から判断すると、彼らは次世代ステアリングシステム「ハイパースクエア」をきっちり仕上げ、成功させるだろう。私はそう見ている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    小島薫

    Kaoru Kojima

    ドイツ自動車メーカーの日本法人に在籍し、オーナーズマニュアルの制作を担当。その後フリーランスで翻訳をはじめる。クルマはハッチバックを10台以上乗り継ぎ、現在はクーペを楽しんでいる。趣味はピアノ。

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