ヒストリックカー・インプレッション

2018.05.06

ロータスの救世主 初代エリーゼ 「1km走れば恋に落ちる」前編

ロータス・エリーゼS1

文・マルコム・ソーン 撮影・トニー・ベイカー 

編集部より

ロータス・エリーゼS1。1990年代半ば、業績を反騰させたいロータスには、どうしても新たな主力モデルが必要でした。チャップマン亡き後のロータスでは、何が起きていたのでしょう?

もくじ

前半
完成とは……
チャップマン亡き後
プロジェクトM112
ドア付き・ミドシップ
量産車初 接着剤という手法
後半
アルミ剥き出しのインテリア
1995年9月 エリーゼ発表
1km走れば恋に落ちる
中古購入 事故歴に注意
この価格で買えるなら「お値打ち」

完成とは……


フランスの作家、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリは、エッセイ集『人間の土地』を次の言葉で締めくくったが、コーリン・チャップマンもその意見にうなずいたに違いない。『完成は、付加すべき何ものもなくなったときではなく、除去すべき何ものもなくなったとき、達せられる』

この数行のくだりは、チャップマンの初期の作品の思想を見事に要約しており、ロータスのスローガンではないかと思えてしまう。従業員を鼓舞する標語として、工場の壁に貼り付けても良いほどだ。

デビューから59年を経て、今なおその性能で人々を圧倒する不滅のロードスター、ロータス・セブンについて考えてみたい。このクルマには特別な点は一切存在しなかったが、余分なものや平凡な要素もまるで存在しない。このことが、セブンを比類なきモデルにした。チャップマンの天賦の才能は、彼が何を使ったかにではなく、何を使わなかったかに表れている。
 

 
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