13:50〜14:30　販売部門トップと会談

販売部門トップのエリック・コパンがみずからの仕事場に社長をむかえる準備におおわらわだったであろうことは、ひたいに光る玉の汗からもうかがえる。だが彼にコーヒーをすすめられたジャクソンが満面の笑みをたたえ、流暢なフランス語で業績の推移と顧客についての質問をはじめると、そんな場の緊張もすぐにほぐれた。

10代のころの下働きから40年も自動車産業にか変わってきたジャクソンは威厳にたよることはしないし、それがフランス人をひきつけるゆえんでもある。コパンともすぐにうちとけ、うれしさのあまりかカメラマンに記念の写真を撮るようせがむのだった。

14:45〜16:00　シャルル・ド・ゴール空港へ

もう時間になろうとしている。ジャクソンは空港に行かねばならないが、パリの街はまた朝のようなひどい渋滞にもなりかねない。余裕があれば、ジャクソンも今日1日をふりかえってこれからの計画を語ってくれる手はずになっていたのだが。

さいわい道の流れも悪くなく、シャルル・ド・ゴール空港のターミナル2Eにはいい時間に着けた。ジャクソンはさっとクルマを降り、ふりかえって笑顔を見せるとターミナルへと消えていった。これからわずか2日で、中国というシトロエン最大の市場をあたかも買い物旅行でもするかのように視察し、2万5000kmの旅路をあとにして戻ってくるのだ。

たいへんなスタミナのいる仕事ではときくと、彼女は即座に首を振る。「好きでやってますから。こんなことを言えるひとがどれだけいます?」

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