消えゆくV8自然吸気 フォード・マスタングで味わう 楽しむなら今

2018.11.03

魅惑のサウンド 排気量の勝利

もう少し付け加えると、本物のV8エンジンは単にサウンドが素晴らしいだけでなく、その振動をも常により魅力的に変化させている。マスタングではダウンシフトで回転数を合わせようとブリッピングをする度に、異なるサウンドを響かせるが、だからといって、信号で止まるだけなら、不要なアクセル操作は控えたほうが良いだろう。

右足に力を込めると、5000rpmあたりで素晴らしいサウンドを響かせるが、さらに高い回転域から5000rpmまで回転が落ちてくる時には異なる音色を響かせ、中速コーナーでアクセルをパーシャル状態にしたような場合には、またさらに異なるサウンドを発する。

よりシンプルなV8もまた素晴らしい存在だ。まるで肉体労働者のようなV8エンジンは、魅力的なだけでなく、効率性にも優れている。


1966年のル・マンでフェラーリにフォードが戦いを挑んだとき、フェラーリは4つのオーバヘッドカムと6基のツインチョークキャブレター、そしてツインイグニッションをもつ珠玉のオールアルミV12を積んだ美しいP3で戦った。ではフォードは? 彼らにはホーリー製シングルキャブを積んだ時代遅れの鋳鉄ブロック製プッシュロッド式V8しかなかったのだ。

しかし、フェラーリのエンジン排気量が4.0ℓに留まる一方、フォードは7.0ℓで戦いに臨んだ。そして、この排気量差がもたらす優位は、気筒数やカムシャフト、キャブレターも覆すことができないものだったのだ。表彰台を独占したのはフォードであり、それを追いかけたフェラーリはレースを途中で終えている。このときほどアメリカ人が好む格言である「排気量に勝るものなし」を見事に証明した瞬間はないだろう。

 
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