フォルクスワーゲン・トゥアレグ 3.0V6 TDI SCR 262R-ライン

公開 : 2014.12.01 23:40　　更新 : 2017.05.29 18:57

グリップは十分かつ、ステアリングは狭い駐車場などで億劫にならずに済むくらい軽い仕立てではあるが、フィードバックの少なさは減点対象。また曲率が大きいコーナーの身のこなしもBMW X5ほど軽やかではない。

乗り心地もお世辞にもクラス随一とは言いがたい。基準車よりも車高が25mm低められているおかげで、荒い路面を低速で走るときに足元が苦労していることがわかる。高速道路などの比較的速い速度でも、高級SUVらしい乗り心地と言えないのは残念だ。

キャビンの質感もクラスを牽引するレベルにはないが、どのパーツにも精緻感があり、レイアウトも良好。時代遅れに感じるグラフィックを使用したタッチスクリーン・システムを覆い隠す出来栄えだ。

大人4人ならば快適に座ることのできる広さはあるものの、後ろに3人はちと息苦しい。気になる荷室容量はアウディQ5よりも大きめ、X5よりは小さめといったところ。

■「買い」か?

まわりを見渡せば、ライバルが少ないわけではない。たとえばBMW X5 xDrive 25dは、トゥアレグR-ラインよりも安価であるうえ、標準装備はさらに豊富。インフォテイメント・スクリーンは優れているし、身のこなしもシャープだ。それにxDrive 25dの4気筒ユニットもまたスムーズだし、CO2排出量は少なく、燃費もいい。

£3,000(57万円)安価な、ツイン-ターボ6気筒ディーゼルを載せたアウディSQ5だって無視できない。燃費こそトゥアレグにわずかに劣るものの、CO2排出量は少ないし、パワーもかなりのもの。0-100km/hタイムにいたってはトゥアレグに大差をつけて速い。

とまぁ後半はあまり良いことばかりではなかったが、各部の組付けの強靭さや、力強いエンジン、豊富な標準装備など、トゥアレグの長所は数多にある。ただ単純に、大型SUVの中で1番ではない、というだけのことだ。

(ローリー・ホワイト)