アウディ「新時代の幕開け」 新型Q6 eトロン発表 517馬力の高級SUVはすべてが新しかった

公開 : 2024.03.21 06:05

アウディが新型EV「Q6 eトロン」を欧州で公開した。航続距離625km、先進の800V高電圧システム、表情豊かな照明技術など、アウディの新時代を告げる電動SUVだ。

アウディの新時代を告げる電動SUV

アウディは3月18日、新型EVの「Q6 eトロン(Q6 E-tron)」を欧州で公開した。従来のQ5に相当するミドルクラスの電動SUVで、4月に発売予定だ。

英国価格はQ6 eトロン・クワトロが6万8975ポンド(約1330万円)から、上級モデルのSQ6 eトロンが9万2950ポンド(約1790万円)からとなっている。

アウディQ6 eトロン
アウディQ6 eトロン    アウディ

アウディの電動SUVラインナップでは、小型のQ4 eトロンと大型のQ8 eトロンの間に位置する。外観は保守的なデザインだが、搭載される技術は「飛躍」的なものだとされている。

Q6 eトロンには、アウディとポルシェが共同開発した先進のプレミアム・パフォーマン・スエレクトリック(PPE)プラットフォームが採用された。ポルシェの新型マカンと共通化し、また今年後半に導入予定のA6 eトロンなど複数のモデルにも採用される最新構造だ。

PPEプラットフォームーとあわせて、フォルクスワーゲン・グループの新しい電子アーキテクチャー「E3」を使用する。5台の高性能コンピューターにより、サスペンションや運転支援システム、インフォテインメント・システムなどを制御する電子技術だ。

最高出力517ps 熱管理システムも刷新

パワートレインとして新世代の電気モーターを導入し、システム出力はQ6 eトロン・クワトロで387ps(285kW)、SQ6 eトロンで517ps(380kW)を発生する。Q8 eトロンの第1世代モーターと比較して、出力密度が62%、性能が33%向上したほか、車両全体のエネルギー消費量を30%抑えるなど高効率を実現している。

また、新しい直接冷却システムを採用し、レーシングカーのようなドライサンプ設計によって潤滑に必要な液体(フルード)の量を減らしている。これも効率をさらに高めるための工夫である。

アウディQ6 eトロン
アウディQ6 eトロン    アウディ

駆動用バッテリーとして、100kWh(使用可能容量94.9kWh)のリチウムイオンバッテリーを搭載する。12個のモジュールと180個のプリズムセルで構成される新設計のもので、レアメタルのコバルトの使用量を低減している。エネルギー密度は従来比で30%増加し、15%の軽量化を達成した。

また、冷却プレートを組み込んだほか、複合繊維のアンダーボディを装着することで、軽量化と熱管理の向上を図っている。ヒートポンプも標準装備される。

航続距離は最長625km 超急速充電に対応も

1回の充電での航続距離は最長625km(欧州WLTPサイクル)で、電費は6.1km/kWhとなる。SQ6 eトロンでは出力が増すため、航続距離は600kmに短縮される。

全車、強度を調整可能な回生ブレーキシステムを搭載し、パドルを使って手動で設定するか、ワンペダルモードに切り替えることができる。

アウディQ6 eトロン
アウディQ6 eトロン    アウディ

Q6 eトロンは800Vの高電圧システムを採用し、超急速充電を可能とした。最大270kWの充電に対応し、適切な条件下では10分で255km分のエネルギーを補給できる。

アウディによると、最大135kWの低速400V充電器では、バッテリーが2つのバンクに分かれて並列充電され、充電速度と効率を最大化するという。

家庭用充電器は最大11kWhに対応し、AC充電ポートがボディ左右に1基ずつ(いずれもリア側に)装備されている。

現在はデュアルモーターの四輪駆動モデル(クワトロ)のみが設定されているが、今後シングルモーターの後輪駆動モデルや83kWhバッテリー仕様も追加予定だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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