導かれたジャガーのル・マン優勝 トム・ウォーキンショー・レーシング(1) XJR-15にクリオ V6 50周年に集った名車たち

公開 : 2026.06.13 17:45

1976年で50周年を迎えたTWR。ジャガーXJ220やルノー・クリオ V6などの開発へ関与し、XJR-15を生み出し、ジャガーのル・マン優勝にも貢献しました。その記念イベントへ、UK編集部が潜入です。

ジャガーをル・マン優勝へ導いたTWRが50周年

モータースポーツへの興味が薄い読者でも、トム・ウォーキンショー・レーシング(TWR)は、聞き覚えがおありだろう。ル・マン24時間レースのファンなら、1998年と1990年にジャガーを優勝へ導いた、立役者だとご存知なはず。

1994年に話題を呼んだ、ボルボ850のツーリングカー・レーサーをご記憶という方は多いのでは。四角いステーションワゴンは、英国のサーキットで大暴れした。ル・マン・レーサー、日産R390 GT1の開発を支援してもいる。

2026年に開かれたTWR 50周年イベントの様子
2026年に開かれたTWR 50周年イベントの様子    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

1976年に誕生したTWRは、2002年まで意欲的に事業を展開し、濃密な歴史を刻んだ。複数のロードカー開発へ携わり、V12エンジンのスーパーカーを自ら生み出し、F1にも挑んでいる。そのすべてを率いたのは、トム・ウォーキンショー氏だった。

「彼は公平で素晴らしい上司でした。鮮明に覚えています」と話すのは、元スタッフのポール・デイビス氏。彼は2026年初頭に、創立50周年を記念すべく、盛大なイベントを企画した。今回は、その参加車両や旧スタッフへのインタビューをご紹介しよう。

アルピナC1 2.3

オーナー:ポール・パーマー氏

1970年代後半に、TWRは英国仕様のアルピナを製造する契約を結んでいる。「BMWを購入した後、TWRへクルマを届ければ良かったんです」と振り返るのは、友人から車検切れのC1を1996年に購入した、パーマーだ。当時、1200ポンドだったという。

アルピナC1 2.3と、オーナーのポール・パーマー氏
アルピナC1 2.3と、オーナーのポール・パーマー氏    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

アルピナ化の内容は、自由度が高かった。ステアリングホイールからバンパー、サスペンション、大容量タンクまで、思い思いにオプションを選べたという。「パーツだけ買う人もいましたが、これは11台が作られたフルコンバージョンの1台」と続ける。

走行距離は16万kmを超えているが、レストアはまだ。「ボディは、剥げたところをタッチアップペンで塗ったくらい。燃料ポンプが故障し、最近は走っていませんでした。子育てで忙しかったんですが、手放さなくて良かったと思います」

サーブ9-3 ヴィゲン

オーナー:ハーヴェイ・マーストン氏

飛行機好きなら、サーブのヴィゲンと聞いて、超音速の戦闘機を思い浮かべるかもしれないが、クルマ好きならTWRが手掛けた9-3の姿が蘇るはず。「約4500台製造されていますが、5ドアは珍しいんです」。オーナーのマーストンが説明する。

サーブ9-3 ヴィゲンと、オーナーのハーヴェイ・マーストン氏
サーブ9-3 ヴィゲンと、オーナーのハーヴェイ・マーストン氏    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

「サスペンションをTWRが仕上げています。FFでターボエンジンなので、トルクステアが強烈なんですよ。でもサーブが好きなら、手懐けられるはずです」。当時、BMW M3のライバルともいわれた理由は、ボディの内側に潜んでいる。

トランスミッションにダンパー、ステアリングラックを改良し、エンジンは高圧縮比化で強化されていた。「走りはいかにもサーブ。4年ほど普段の足にしていましたが、驚くほど信頼性は高いんです。サーブが忘れ去られないよう、乗り続けたいと思います」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ライアン・スタンデン

    Ryan Standen

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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