上級電動SUVのヴィンテージイヤー BMW iX3/メルセデス・ベンツ GLC エレクトリック/ボルボEX60(1) カタログ上では歴然 3台の実力差は?

公開 : 2026.09.16 18:05

BMW iX3、メルセデス・ベンツ GLC エレクトリック、ボルボEX60が発売された2026年は、上級電動SUVのヴィンテージイヤーと言えます。UK編集部が3台を連れ出し、新世代の実力差を探ります。

上級電動SUVのヴィンテージイヤー

自動車の黄金期は終わったと、悲観する人がいる。確かに、お手頃な価格で乗れるホットハッチスポーツカーは、殆ど選択肢が残っていない。AUTOCARが高く評価してきた、ディーゼルエンジンのステーションワゴンも絶滅したといっていい。

そんな2026年に、新種といえるバッテリーEVの上級SUVが3台も登場した。物価高に負けない収入があり、ちょっと上質なファミリーカーを選ぶ状況にあるなら、これらは恐らく検討候補に入るはず。今年は、ヴィンテージイヤーかもしれない。

手前からBMW iX3と、メルセデス・ベンツ GLC エレクトリック、ボルボEX60
手前からBMW iX3と、メルセデス・ベンツ GLC エレクトリック、ボルボEX60    マックス・エドレストン(Max Edleston)

選択肢に加わったのが、BMW iX3とメルセデス・ベンツ GLC エレクトリック、ボルボEX60。いずれも、巨額の投資で完成した新プラットフォームを採用し、約10年に及ぶ知見が活かされている。最新のデジタル技術にも事欠かない。

まだ、6気筒ディーゼル級の持久力はない。だが、現実的に500kmに届く航続距離を有し、有り余るほどのパワーを秘め、高効率なパッケージングで余裕のキャビンを備える。

カタログ上の電費と航続距離はiX3が圧勝

BMW iX3には先代があり、2021年の登場から数年間は、有能な電動SUVとして評価されてきた。それでも最新版は、航続距離が300km以上伸び、充電速度は2倍に上昇し、0-100km/h加速は2秒も縮め、車内は拡大している。価格も若干上昇したが。

アウディQ6 e-トロンとポルシェ・マカン・エレクトリックは、発売時の2024年には有利にあったが、今回の3台と比べると、既に航続距離は見劣りする。レクサスRZは、同じ土俵には立てないだろう。

BMW iX3 50 xドライブ(英国仕様)
BMW iX3 50 xドライブ(英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

果たして、この3台の実力差はどの程度あるのか。今回は性能や価格を接近させつつ、高次元で比較するべく、ツインモーターのロングレンジ版を用意してみた。iX3は50 xドライブ、GLCは400 4マティック、EX60はP10 AWDとなる。

カタログ上の電費と航続距離は、iX3が6.4km/kWhと791kmで圧勝。EX60は6.1km/kWhに648kmで、GLCは5.9km/kWと637kmがうたわれる。急速充電も400kW、370kW、330kWの順で並ぶ。どれも、小休憩で充分回復できる速さだ。

ブランドを主張するフロントマスク

航続距離はEVの重要な性能といえ、同ルートを試乗した後の充電量と走行距離で計算すると、GLCの現実的な電費は、EX60を上回る5.9km/kWh。総合510psで2275kgのSUVとして考えれば、EX60の5.6km/kWhも褒められる効率ではあるが。

iX3は、前振り通り6.2km/kWhと優秀で、実際の急速充電も最高速。駆動用バッテリーも大きいため、過ごしやすい気温なら、現実的に650kmは1充電で走れるはず。

メルセデス・ベンツ GLC エレクトリックの前で意見を交わす、UK編集部
メルセデス・ベンツ GLC エレクトリックの前で意見を交わす、UK編集部    マックス・エドレストン(Max Edleston)

経済性と並んで、見た目の印象もクルマ選びでは重要な要素になる。塗装は3台ともニュアンスカラー的だったが、個性はしっかり異なる。EX60は淡白で、いかにも最新のEV。スクエアなリアは、ボルボ240のステーションワゴンと淡くイメージが重なる。

フロントマスクでブランドを主張するのが、iX3とGLC。スリムなキドニーグリルを備えたシャークノーズや、スリーポインテッド・スターを中央に飾った大きいグリルで、ブランドらしさが醸し出されている。読者のお好みは?

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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