【スズキ・ビジョンeスカイ】2026年度内の量産化を目指す軽乗用EVコンセプト!開発担当者に聞くその想い #JMS2025

公開 : 2025.10.30 07:05

ジャパンモビリティショー2025で『スズキ・ビジョンeスカイ』がワールドプレミアされました。果たして『量産化を目指す軽乗用EVコンセプト』に込めた想いとは。会場で開発担当者に篠原政明がインタビューしました。

軽自動車ユーザーがそのまま乗れるEV

ジャパンモビリティショー 2025でワールドプレミアされた、スズキの軽乗用EVコンセプト『ビジョンeスカイ(Vision e-Sky)』。会場で、企画担当者である箕輪多香子氏、エクステリアデザインを担当した松浦漠氏、インテリアデザインを担当した佐々和希氏、そしてCMFを担当した鈴木千尋氏にお話を伺った。

これが次期『ワゴンR』になるのでは? と多くのメディアは推測しているが、今回は『量産化を目指す軽乗用EVコンセプト』としての『ビジョンeスカイ』というクルマについて、という前提で語ってくれた。

BEVソリューション本部BEV商品企画部軽・A企画課主任の箕輪多香子氏と『スズキ・ビジョンeスカイ』。
BEVソリューション本部BEV商品企画部軽・A企画課主任の箕輪多香子氏と『スズキ・ビジョンeスカイ』。    山田真人

まずは企画を担当した箕輪氏から。前述のように2026年度内の量産化を目指すコンセプトモデルであって、現段階ではエンジン車は考えていないとのこと。そして、いま普通に軽自動車に乗っている人が「自分とは関係ないな」と思うようなクルマにはしたくなかったという。それゆえEVなので先進感は必要だが、今までのクルマと離れたクルマにはしなかった。

ジャンル的にはリアドアもスイング式を採用したハイトワゴンだが、床下にバッテリーを積んだEVゆえ、少し車高は高めになる。そこでボディには抑揚をつけて、スズキらしさを出している。

『スズキらしさ』とは、ハスラーやラパンに見られるキャラクター性を出すこと。他メーカーではヘッドランプなどデザインを統一しているものもあるが、スズキは個々のクルマでキャラクターを表現することを重視している。そうした他のスズキ車のように愛着を持ってもらえる、ユニークなクルマでありたいという。

市販モデルはこのまま出せるわけではないが、なるべくキープして出したいという。スズキらしい、安心して使いたいクルマを目指して、内装もエンジン車から変えすぎないように、先進的なイメージながらも物理的スイッチを残したり、シフトも普通のセレクターにするなど、軽自動車に乗っているユーザーが気負わずに乗れるような、ちょうどいいクルマを目指している。

スズキならではの親しみやすさや愛着

次に、エクステリアデザイン担当の松浦氏。市販化が前提のモデルながら、制約のある軽自動車のサイズ内で抑揚をつけたデザインにしたのは、冷たい印象になりがちなEVに、スズキのクルマらしいキャラクターを与えたかったからだという。

高めのボンネットにショルダーラインをおさえて凹凸を付けるなどで平面に見せず、また前後を絞り込んでフェンダーを張らせるといった工夫をしている。

左から商品企画本部四輪デザイン課先行デザイン課の佐々和希氏、鈴木千尋氏、松浦漠氏。
左から商品企画本部四輪デザイン課先行デザイン課の佐々和希氏、鈴木千尋氏、松浦漠氏。    山田真人

目指したのは、スズキならではの親しみやすさや愛着はEVになっても変わらないというデザイン。EVをイメージしたグリルのピクセル風ランプなどはコンセプトモデルならではだが、コの字のシグネチャーランプなどは市販車でも採用を目指しているという。

続いて、インテリアデザイン担当の佐々氏。2026年度内の量産化を目指しているため、コンセプトモデル的な奇をてらったものではない、ほぼそのまま市販化されてもおかしくないインテリアとした。

とはいえ、注目したいのはトレイ状のインパネ上面。メーターまわりはEVらしい先進的なディスプレイとしながら、スズキらしいユニークさと使いやすさを考えて、トレイとメーターを違和感なく融合させたデザインにしている。これにより、インパネまわりに広がり感も与えている。

シートやラゲッジルームの使い勝手などはこれからの問題だが、普通の軽ハイトワゴンとは変わらないという。シートは立体感のあるものだが日常でも使いやすく乗り降りしやすいものとしている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 撮影

    山田真人

    Makoto Yamada

    1973年生まれ。アウトドア雑誌編集部からフリーランスカメラマンに転身。小学5年生の時に鉄道写真を撮りに初めての一人旅に出たのがきっかけで、今だにさすらいの旅をするように。無人島から海外リゾート、子どもからメガヨットと幅広い撮影ジャンルを持つ。好きな被写体は動くものと夕陽。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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