スズキ初の軽自動車EV『eスカイ』担当デザイナーに訊く 今までなかったスタイルは、親しみやすさと先進感を両立 ある程度残した物理スイッチ

公開 : 2026.10.22 11:45

スズキ初の軽自動車EVとして登場した『eスカイ』。攻めた価格設定で話題ですが、往年のスズライトからインスパイアされたディテールを持つなど、そのスタイリングにも注目が集まります。篠原政明が担当デザイナーに訊きました。

順番は市販版の完成が先

スズキ初の軽自動車EV『eスカイ』の発表会場で、エクステリアとインテリアのデザイン責任者から、eスカイ開発の少し深掘り的な話を伺った。まずは、エクステリアのまとめを担当した馮(ふたば)天陽氏のコメントからご紹介しよう。

市販版eスカイは、昨年のジャパンモビリティショー(以下、JMS)2025に参考出品されたコンセプトカー『ビジョンeスカイ』がベースだと思われているが、実は逆。ビジョンeスカイは、コンセプトカー用に少し「デコった」スペシャルモデルだった。

10月6日に発表となった、スズキ初の軽自動車EV『eスカイ』。
10月6日に発表となった、スズキ初の軽自動車EV『eスカイ』。    スズキ

そんなeスカイのエクステリアは、若手を含む多くのデザイナーが車体全体や部品ごとに担当し、デザイン全体をまとめたのが馮氏だ。

eスカイは、軽自動車のカテゴリーでいえばセダン(ボンネットバン)とスーパーハイトワゴンの中間に位置するハイトワゴンとなる。

実際、その全高はエンジン車のハイトワゴンであるワゴンRとほぼ同じだ。しかし、床下にバッテリーを搭載するEVのためドア部分が厚くなり、サイドビューはエンジン車より鈍重な感じになってしまう。

全高はワゴンRと変わらないのに、ショルダーラインは高くなってしまう。eスカイのコンセプトである『通常の軽自動車と変わらない印象で乗り換えてもらう』ためには軽やかなイメージにしたいのだが、その高さは変えられない。

そこで、ピラーとルーフに浮遊感のある処理を施し、視覚的に全体の重量感を減らしている。特にXグレードではCピラーにカラーガーニッシュを採用しているが、まわりに黒縁を入れて浮遊感を出し、これによってポップな色使いとも相性が良くなっている。

当初の案では縦長ヘッドランプも検討

そのショルダーラインは往年のスズライトからインスパイアされたが、デザインの当初は縦長ヘッドランプなども検討されていた。しかしEVらしい目つきで可愛らしさの中に凜々しさもと、今風のデジタル的なものを採用した。

そして軽自動車としてはショルダーラインが張り出したため、コストはかかるがドアハンドルとバックドアハンドルはフラットタイプを新たに製作して、出っ張りをなくした。これにより軽自動車の枠に抑えながら、ドアパネルに張りを持たせることができた。

eスカイのショルダーラインは、往年のスズライトからインスパイアされた。
eスカイのショルダーラインは、往年のスズライトからインスパイアされた。    スズキ

また、ヘッドランプを繋ぐ黒い部分にはカメラやレーダーを備え、これがアクセントとなってボディ同色のままではのっぺりしてしまう顔付きを引き締めている。

こうして誕生したeスカイは、今まであったようでなかった独特のスタイリングだ。暖かさのあるボディ造形に先進感のあるディテールを融合している。

面の張りで丸さを感じさせているが、コーナーはエッジを出して空力性能を向上。スズキが初めて送り出す軽EVに相応しい、親しみやすさと先進感を両立したデザインといえるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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