ゆれるVWの今、これから CEOマティアス・ミュラー 独占インタビュー

公開 : 2017.10.21 11:10  更新 : 2017.12.14 12:37

VWで戦うことにした理由

ポルシェのトップであったミュラーがフォルクスワーゲン・グループCEOに就任したのは彼が60代前半のことだった。もちろん、他の潔白だった役員のように、そのまま立ち去ることも彼はできたはずなのだ。

再びの苦笑。

「何とか助けになりたかったんです」とミュラーは話し始めた。彼は東ドイツに生まれ、インゴルシュタットの学校で学び、アウディの見習い工となった後、再び大学に戻って経営者にまで上り詰めた。

「わたしは44年間もフォルクスワーゲン・グループで働いてきて、その間に多くを与えてもらいました。会社からこの難局を乗り切るために力を貸して欲しいと言われた時、これまでの恩義を思い出したんです」

「わたしはフォルクスワーゲン・グループの長所も短所も知っています。そしてどのように変革すべきかのアイデアもあります。もちろん上手く行くかどうかはわかりませんが、ともかく挑戦してみるつもりです」

ミュラーのアシスタントが更に頻繁にチラチラと時計を見始めた。

わたしはミュラーに好意的になっている自分に気が付いた。以前会った時に抱いた印象よりもはるかに彼は率直で、はるかに謙虚だった。前回はロスで会ったのだが、その時の彼の仕事は成功が約束されたポルシェ・マカンをお披露目することだった。つまり自信過剰になっても仕方のない、成功が約束された仕事だったのだ。

インタビュールームを辞する前に、ミュラーにこの仕事の大変さを簡単に説明してくれるように頼んでみたが、彼の答えには驚かされた。

「最初はそんなに大変じゃなかったんです」と彼は言った。「でも徐々に大変になってきました。ディーゼル問題、ビジネス変革、デジタル化、コネクティビティ、自動運転、ライドシェアやカーシェアなどの共有モビリティ、こういった事全てです。とても大きな課題です。間違いありません。でも同時に楽しくもあるんですよ」

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