クリス・ハリス

1999年6月、シュトゥットガルトまで飛行機で移動し、空港からはタクシーでツッフェンハウゼンまで向かった。ポルシェの本拠地であり、人生で1度は訪れたかった場所だ。工場近くの看板を見ただけで身体に衝撃が走ったが、今回自分に課された任務を考えるとそれどころではなかった。

その任務とは、GT3と名付けられた、水冷996のサーキット向けモデルとして、より速さを求めた新型スポーツカーを引き取りにいくことだったのだ。初めて乗ったGT3で、いつものようにアウトバーンを290km/hでぶっ飛ばし、英国上陸前にはフランスの国道をもの凄い速度で走り抜けた。24歳だったが、当時は世界最高の職業だと思ったし、その思いは今も変わらない。

GT3のようなモデルを愛さずにはいられないのだ。AUTOCARで働いていた時以上に幸せだったことはないのだから、あれは人生最良の日だったと言える。当時の記事はいまでも手元にある。

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