ポルシェ・マカン・エレクトリック 詳細データテスト クラス最速レベル ブレーキとシャシーに疑問符

公開 : 2025.03.15 20:25

完全電動化された2代目ポルシェ・マカンの最上位仕様は、英国で販売されるBEVとしては最速レベル。しかし、シャシー性能には問題が。タイヤ変更で多少は改善されるものの根治はならず。ブレーキフィールにも不満ありです。

はじめに

ポルシェはその歴史を通して、フォルクスワーゲンアウディのプラットフォームやコンポーネンツをもとに、誰にも真似のできない魔法をかけるようなクルマづくりをして見せてきた。元祖ポルシェの356は、ルーツをたどればビートルだし、968クラブスポーツは、フォルクスワーゲンとアウディのために開発した924の発展形で、エンジンはアウディ由来だ。

初代マカンは、ツッフェンハウゼンにおける商業的な成功作のひとつに数えられる。アウディQ5がベースと言えるクルマでありながら、Q5では到底望めないようなレベルのドライバーズカーに仕上げられていた。BEV専用となった新型マカンは、アウディと共同開発したプレミアムプラットフォームエレクトリック(PPE)に不可欠なクルマだ。

テスト車:ポルシェ・マカン・ターボ・エレクトリック
テスト車:ポルシェ・マカン・ターボ・エレクトリック    MAX EDLESTON

初代との生産期間が重なるのは短期間に過ぎず、急いで引き継ぎを済ませなくてはならない2代目は、厄介な役目を背負い込んだといえる。ICEの初代ほどの成功を維持することは、どう考えても大きな困難だ。

おそらく、それはセールスに表れるだろう。われわれが探るべきは、これが本当にポルシェだと言えるクルマなのか、兄弟関係と言えるアウディQ6 E-トロンとは差別化できているのか、という点だ。テスト車は、最上級グレードのマカン・ターボだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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