自動車デザインの名門 ロイヤル・カレッジ・オブ・アート訪問 未来のクルマが生まれる場所

公開 : 2019.06.30 18:50

スタッフも多様 新たな拠点も

このコースの新たな方向性は、自動車メーカーのデザインスタジオよりも多様なスタッフに表れている。

ハローを補佐するシリル・ディールズは、ドライバーの行動心理を調査するとともに、自動車に関連する疾病の研究で博士号を取得した人物であり、プログラムのトップを務めるクリス・ソープ博士は、家具デザインに関する修士号を持つ一方、かつては防衛関連企業のキネティック社で働いていた。

そして、この3人の常勤の講師たちは、それぞれがフォードやメルセデス、オペルボルボ、さらにはフォルクスワーゲンのスタジオでの経験をコースへと持ち込んでいる。

いまのところ、彼らが学生を指導しているのは、数十年にもわたって学部が拠点を置く、ロンドンのケンジントンにあるまるでウサギ小屋のような建物だが、2021/22年度には、既存のRCAの建物に併設される形で、大幅に規模を拡大した新たなスタジオが建設されるバタシーへと移ることになっている。


この新拠点の開設は、自動車デザインにおける新たなトレンドの始まりと時を同じくしており、ハローは、少なくとも25年もの間、自動車デザインのトレンドを牽引してきたブランドが、その影響力を失いつつあると感じている。

「フォルムとシェイプ、デザイン言語と独自性といったものが形作ってきたブランドは、いまや失われつつあります」と、彼は言う。「さらに、自動運転や若者のクルマ離れといった大きな問題にも直面しているのです」

このRCAの変革は、常に最先端に居続けられるよう、新たな才能を必要とする各自動車メーカーのデザイン責任者からの指示も受けている。こうしたデザインスタジオのトップの多くがRCAの卒業生であり、学生への資金提供や作品制作のサポートを通じて、密接な関係を保ち続けているのだ。

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