【究極で最速のウラカン】ランボルギーニ・ウラカンSTO プロトタイプへ試乗 FRに640ps 後編

公開 : 2020.11.25 10:20

量産ウラカン史上、最速となるSTOがまもなく登場します。主要コンポーネンツはレーシングカーのスーパートロフェオ譲り。エアロダイナミクスの改良と後輪駆動化、軽量化が図られ、ペルフォルマンテを超える速さを実現しています。

精度と感度が高められ、安心感あるシャシー

text:Mike Duff(マイク・ダフ)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ランボルギーニウラカンSTOのシャシーは、グリップも操縦性も高められている。しかもウラカンらしく、自由度も高い。ステアリングの精度は超がつくほど高く、操舵感は軽いまま。切り初めのごく初期で、やや感触が不足しているようではある。

コーナリングは、フィードバックが高くないものの、信頼感は大きい。コーナーへ侵入し負荷が増えるほど、ドライバーの自信を鼓舞するようだ。アクセル操作で、コーナーのライン調整も直感的に行える。

ランボルギーニ・ウラカンSTO プロトタイプ
ランボルギーニ・ウラカンSTO プロトタイプ

トロフェオ・モードでは、スタビリティ・コントロールの介入は緩い。オーバーステアからアクセルペダルを踏み込めば、かなりの量のテールスライドを許してくれる。

特に印象的だったのが、荷重移動に対する感度の高さ。スロットル操作で前後タイヤ間の荷重を移し、グリップ量を変化させられる。後輪操舵システムは、低速コーナーでのその効きを感じられる程度。トルクベクタリングも裏方に徹している。

タイヤが温まれば、620psもある後輪駆動とは思えないほど、恐怖感が少ない。マクラーレン765LTより、サーキットでの刺激性は低いともいえる。

ウラカンSTOのダウンフォースを利用するには、クルマを深く信じる必要がある。プロトタイプとはいえ、ダウンフォースが増していっても、ステアリングホイールに伝わる重さの変化はほぼないからだ。

でも確かに高速コーナーに入れば、信じられないような横Gを生成できる。800mほどあるストレートの先の、フラットな緩いコーナーで実感させてくれた。

究極のランボルギーニ・ウラカン

可変式の大きなリアウイングを、ダウンフォースが最大で発生する角度に調整することで、超高速域での安定感は高められる。そのかわり長く伸びる中速コーナーでは、アンダーステア傾向が強まるようだった。

カーボンセラミックのCCM-Rブレーキにも拍手を贈りたい。強力な制動力を生み出し、驚くほど短い距離でウラカンSTOを停めてくれる。ハードユースによる、熱に対する不満もない。

ランボルギーニ・ウラカンSTO プロトタイプ
ランボルギーニ・ウラカンSTO プロトタイプ

ダッシュボードには、ブレーキディスクとフルードの温度表示が付いている。テスト中、表示がグリーンからイエローに色が変わったのは、最も厳しい停止を試みた時だけだった。

今回はプロトタイプだったが、量産版ではスマートフォンの専用アプリに、ウラカンSTOから運転データを転送できるテレメトリー・システムが搭載されるという。自身のドライビングを手元で確認し、分析できる。

もし究極といえるランボルギーニ・ウラカンが欲しく、26万ポンド(3510万円)を支払えるなら、早めにSTOを抑えておいた方が良い。ただし、スーパーカーのトップモデルに惹かれる理由はわかるが、どのように乗りたいのかは自問しておくべきだろう。

定期的にサーキットを走らず一般道がメインなら、ウラカンSTOはあまりにも生々しく、我慢して乗ることにもなり得そうだ。四輪駆動のペルフォルマンテと、STOが目的とする特性とを比較して考えたい。

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