「過去に例を見ない」ランボルギーニの出現 優勝はウラカン・ステラート 11台の得点も BBDC 2023(8)

公開 : 2024.01.04 13:45

AUTOCARの年末恒例、ベスト・ドライバーズカー(BBDC)選手権 2023年に試乗したクルマで、最高のドライビング体験を与える1台は? 11台を一挙比較

従来のランボルギーニとは異次元の仕上り

華やかなスタイリングに、サーキットへフォーカスしたシャシーを備える、後輪駆動のランボルギーニ・ウラカンは、過去の英国ベスト・ドライバーズカー(BBDC)選手権で優勝できなかった。しかしその数年後、ウラカン・ステラートは驚嘆を残した。

従来のランボルギーニとは、異次元の仕上がりにあった。歴代のどのモデルより、遥かに優れていた。「ここまでランボルギーニを楽しいと感じたのは、いつだったか思い出せません」。と、審査員のアンドリュー・フランケルが口にする。

ランボルギーニ・ウラカン・ステラート(英国仕様)
ランボルギーニ・ウラカン・ステラート(英国仕様)

「自分が運転してきたなかで、過去最高のランボルギーニですね」。とはジェームス・ディスデイル。「予想外の仕上がりです」。とはリチャード・レーン。

「スーパーカーは、一般的に公道では充分に楽しめませんよね。なので自分は、初めは別のクルマへ高く配点しようと思っていました。でも、これ以外に1番はありませんでした」。イリヤ・バプラートが、採点での心中を明かす。

審査員の誰もが、ウラカン・ステラートへ恋に落ちた。余裕あるサスペンション・ストロークと、高性能な四輪駆動システムが実装されたシャシーにとって、気象条件の悪さなどまったく障害にはならなかった。

筆者は、以前に気温30度という炎天下でウラカン・ステラートを運転した経験がある。その時も、素晴らしいと心の底から思った。

5.2LのV型10気筒エンジンも秀抜

一般道では、1956mmの全幅と610psの最高出力にも関わらず、ベーシックなウラカンを否定する勢いで秘めた能力を引き出せる。サスペンションはしなやかに動き、呼吸が止まるような強い衝撃へ身構える必要は一切ない。姿勢制御も素晴らしい。

「爽快なほど自由自在で、サーキットでも思い通りでした」。ディスデイルが、一連の印象を強調する。

ランボルギーニ・ウラカン・ステラート(英国仕様)
ランボルギーニ・ウラカン・ステラート(英国仕様)

何名かの審査員が、ウラカン・ステラートのステアリングにリモート感があると指摘していた。恐らく、ステアリングラックへ加わった強い衝撃を、手のひらへ直接伝えないよう調整されているのだろう。

それでも、限界領域でも安心感の高いレスポンスを叶えている。ステアリングレシオにも不満はない。

5.2LのV型10気筒エンジンも秀抜。最高傑作だと、フランケルは特に高く評価していた。他の審査員にも印象を聞けば、「素晴らしい」。「気に入った」。そんな言葉が入り乱れる。

2023年のベスト・ドライバーズカーに輝いたのは、ウラカン・ステラート。過去に例を見ない出色のランボルギーニであり、型破りのスーパーカーが出現した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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