2023年「トップ3」はコレ ポルシェ911 GT3 RS アリエル・アトム 4R ランボルギーニ・ウラカン・ステラート BBDC 2023(6)

公開 : 2024.01.02 13:45

AUTOCARの年末恒例、ベスト・ドライバーズカー(BBDC)選手権 2023年に試乗したクルマで、最高のドライビング体験を与える1台は? 11台を一挙比較

他に例がないほどの充足感を生む3台

英国ベスト・ドライバーズカー(BBDC)選手権の現場では、日程の6割ほどが終わった時点で、一旦静まる時間がある。周囲へ響くタイヤのスキール音やエンジン音は消え、審査員は自身の配点へ集中し始める。

アングルシー・サーキットのミーティングルームには、キーボードのカタカタという音が充満する。審査員の独り言や、ため息も聞こえる。

ブラックのアリエル・アトム 4Rと、ホワイトのポルシェ911 GT3 RS、オレンジのランボルギーニ・ウラカン・ステラート
ブラックのアリエル・アトム 4Rと、ホワイトのポルシェ911 GT3 RS、オレンジのランボルギーニウラカン・ステラート

ノミネートした11台は、すべて2023年を代表するドライバーズカーだ。採点は簡単ではない。熟考を重ね、自身の答えを出していく。

簡単に点数が決まるモデルもある。ステアリングホイールを握った瞬間から、長所と短所をすぐに理解できるような場合は。しかし、頭を悩ませるモデルの方が多い。性格や特徴を洗い出し、順位付けするには充分な時間が必要になる。

最終的に示される審査員の配点に、大きな開きが出ることは珍しい。AUTOCARとしてのコンセンサスが導かれる。特に2023年のトップ3は、共通した見解を得られた。

11台のノミネート車両で合計200点を超えたのは、ポルシェ911 GT3 RSとアリエル・アトム 4R、ランボルギーニ・ウラカン・ステラートの3台だけ。ポルシェ911 ダカールは、2ポイントの僅差で4位に決まった。

ドライバーへ喜びをもたらすプロセスはそれぞれ異なるが、他に例がないほどの充足感を得られるという点では共通していた。公道であろうと、ずぶ濡れのサーキットであろうと、この3台は審査員5名の気持ちを完全に奪った。

公道をわが物顔で駆け回る911 GT RS

珍しいことに2023年は、優勝に輝くであろうモデルが審査の序盤で見えていた。最終的な得点には圧倒的な差があり、結果へ疑いの余地はなかった。最高のドライバーズカーだと説得させる方法が1つではないことを、見事に証明してみせた。

5名の審査員の4名が、優勝した1台へ最高得点を与えていた。残りの1人も、3位に順位付けしていた。2位から6位タイまでは8ポイント差で固まっていたが、優勝したモデルは、2位へ16ポイント差を付けていた。

ポルシェ911 GT3 RS(英国仕様)
ポルシェ911 GT3 RS(英国仕様)

定期的なAUTOCARの読者なら、もしかすると優勝車を予想できるかもしれない。

もったいぶるのはこのくらいにして、本題へ移ろう。まずは2022年のBBDCを制したポルシェ911 GT3の進化版、911 GT RSから触れていこう。

通常なら、前年と同一のモデルがノミネートするのだが、今回はよりモータースポーツへ接近した最新版を招聘した。11台の中で最も注目度の高い1台といえ、空力特性へフォーカスした容姿は、走行性能に疑いの余地がないことを誇示するかのよう。

カレラカップへ出場する、本物のレーシングカーにも見えるほど。走りを追求しすぎるあまりシリアスになりすぎ、一般道での振る舞いに犠牲が及んでいるのでは、と心配したくなる。

ところが実際は、ウェールズ州の起伏の多い公道をわが物顔で駆け回ってみせた。審査員の1人、リチャード・レーンは特に強い感銘を受けたらしい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

英国ベスト・ドライバーズカー(BBDC)選手権 2023の前後関係

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